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【24-04】人材競争における国際比較優位の形成に注力を(その1)

劉松博(中国人民大学国家発展・戦略研究院研究員、労働人事学院教授)
胡 威(中国人民大学公共管理学院副教授) 2024年04月12日

 2022年に開かれた中国共産党第20回全国代表大会の報告は「世界における重要な人材中心地とイノベーション先進地の建設を加速させ、人材の合理的な展開と協調発展を促し、人材競争における国際比較優位の形成に注力する」と打ち出した。これは、中国がより高いスタート地点に立ち、より高いレベルに狙いを定め、より高い目標を目指して、人材強国戦略とイノベーション主導の発展戦略を全面的かつ踏み込んで実施するための科学的思考と体系的な計画となっており、人材事業を展開する上で明確な目標と指針を提供している。

 人材競争における国際比較優位の本質は、人材の経済的生産力であり、国と国の間で動的競争が繰り広げられる中、1つの国の人材規模、素養、効果、イノベーション活力などの面に現れる。

 中国のイノベーション能力やテクノロジー力は現在、飛躍しており、国の競争力が顕著に増強されている。だが、ハイレベル人材の数や質の面では、依然として向上するための比較的大きな余地があり、人材構造のさらなる最適化、国の戦略的人材のさらなる強化が待たれる。人材競争の国際比較優位の形成に注力することは、人材強国建設において必ず通るべき道となる。

人材環境を最適化し、国際交流を促進

 人材が成長・発展できる良い環境作りを行って初めて、その人材が長所を生かして貢献することができ、人材を引きつける魅力を保障することができる。

 中国において魅力的な人材環境を作るためには、ハードウェア環境の整備や資金投入を強化して、科学研究環境が世界トップレベルの科学研究環境に肩を並べるようにする必要がある。そして、公共サービスに注力し、人材に安定した生活環境を提供し、別の地域から来た人材が現地の体制にスムーズに馴染めるようにするほか、現地の人材が生まれ故郷において引き続き帰属感を深められるようにする必要がある。このほか、優れたソフトウェア環境を作り出す上で、各レベルや業界は積極的かつ真摯な態度で、包摂的かつ開放的な文化・科学的政策を通じて、人材が進んで能力を発揮したいと思えるように導く必要がある。また、マクロ環境という観点からは、人材強国戦略に対する支援を強化し、重要な戦略的計画や方針・政策、指示・措置を通じて、人材を大切にし、重視する社会の雰囲気を作り出し、人材事業整備のトップレベルデザインを形成し、人材環境の発展・整備を確実に指導する必要がある。ミクロ環境という観点から見ると、各末端機関は依然として認識を高め、各種人材政策を実施し、人材待遇基準を高め、各種関連サービスを提供する必要がある。

 また、経済のグローバル化が進む中、世界の人材の流動化が一層進んでいる。現在、中国ではハイレベル人材が不足しており、西側先進国と比べると、最先端テクノロジーや教育水準の面で、依然として開きがあるという背景の下、国際交流を積極的に展開することが、中国を人材中心地とイノベーション先進地にするための重要な道筋となっている。

 こうした点を踏まえ、中国はすべてを受け入れる開放的な姿勢で、確固とした揺るぎない戦略を持ち、天下の形勢を一変させる志を抱いて、対外開放という基本的国策を堅持し、国内の人材が海外に進出してレベルアップするよう促進する必要がある。また、海外人材事業の理念や方針を調整し、「人材の保有」から「人材の活用」へと転換し、一部の重要な人材に関しては保有ではなく活用を求め、協力・交流において中国の人材水準を高め、国内外の人材がその価値を発揮できるようにする必要がある。

その2 へつづく)


※本稿は、科技日報「着力形成人才国际竞争的比较优势」(2024年2月5日付8面)を科技日報の許諾を得て日本語訳/転載したものである。

 

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