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【26-01】生成AIをどう扱うか 清華大学などが利用基準を明確化(その1)

荊暁青(科技日報記者) 2026年01月19日

 生成AI(人工知能)が静かにキャンパスへと入り込む中、教員と学生はこの新興技術をいかに適切に活用すべきだろうか。

 清華大学はこのほど、「清華大学AI教育応用指導原則」を発表し、学内におけるAIの活用について、全体的かつ段階的な指針と規範を示した。これに先立ち、上海交通大学や復旦大学、北京科技大学、中国伝媒大学など複数の大学が、AI活用に関する規定を相次いで打ち出し、教員・学生が責任ある形でAIを利用するためのルールと禁止事項を示している。

 技術の急速な進化がもたらすチャンスと課題に直面する中、科学的で合理的なAI教育イノベーションのエコシステムを構築し、教員や学生を積極的かつ健全で、規範的、持続可能なAI利用へと導くことが、業界の重要な関心事となっている。

指導を重視し、一律対応を排除

 復旦大学は早くも2024年11月に、「復旦大学における学部卒業論文(制作)でのAIツール使用に関する規定(試行)」を発表した。これは、学部卒業論文におけるAIツールの使用を対象とした、中国国内初の専門的な規範文書である。

 上海交通大学は25年3月に「上海交通大学の教育におけるAI使用に関する規範」(試行版)を発表し、「AI+HI(AI+人間の知恵)」改革・ガバナンス体系とメカニズムを整備。「教員」「学生」「AI技術システム」「教育エコシステム」の四者間相互作用による新たな教育エコシステムの構築を打ち出した。

 今回、清華大学が発表した「指導原則」は、「総則」「教育編」「学位論文および実践成果編」の三部で構成され、現在の教育と学術研究における主要な場面を網羅している。公式発表によると、「指導原則」は2年以上にわたる知恵の集積を経て策定されたもので、その発表は、清華大学がAIと教育の融合を探る過程において、「技術先行」から「制度による保護」の新たな段階に入ったことを示している。

 AI教育分野に30年以上携わってきた北京大学教育学院の賈積有教授は、「中国国内の大学によるAI授業導入の模索はすでに2年以上続いている。現在出されている一連の規範文書に共通するのは、強制よりも誘導を重視し、全面的な『解禁』や『禁止』といった一律の単純的な対応を避けている点だ。これは技術発展の特性に合致するだけでなく、生成AIが継続的に進化していくことを踏まえ、試行錯誤を続けるためのガバナンス上の余地も残している。例えば、上海交通大学はAIの利用を『禁止』『限定』『奨励』『開放』の4類型に分類し、教員・学生と学術コミュニティが利用の境界について合意を形成すべきだと強調している。意見が分かれるケースについては専門委員会に仲裁を委ね、AI利用の境界をより具体化している」と説明した。

 清華大学教育学院の補助研究員である于済凡氏も、「相次いで発表されている規範文書は、中立的な価値提唱に近く、技術の進化に伴って継続的に更新されていくものだ」と述べている。

レッドラインを引き、教育の原点を守る

 各大学が打ち出した規範文書を概観すると、「禁止」条項が重点的に示されており、明確な禁止領域を章として設けているものも少なくない。于氏は、「こうした制約のレッドラインは、本質的には教育における人間の主体的価値を強調するものだ」と語る。

 例えば、「指導原則」の「学位論文および実践成果編」では、本来本人が行うべき学術的訓練をAIに代替させることを禁止しており、AIを用いた代筆、剽窃、捏造などの行為を厳禁している。「教育編」では、AIが生成したテキストやコードなどを直接複製・単純転記して学業成果として提出する行為を厳禁している。復旦大学は「6つの禁止」を掲げ、学部卒業論文(制作)における原始データ、独創性や実験性を有する結果画像・図表・イラストをAIツールで生成・改変することや、口頭試問委員や審査専門家がAIツールを用いて評価することなどを禁止している。上海交通大学は「AI応用禁止リスト」を明示し、学内プラットフォームを通じて随時更新・公開することで、教員・学生が関連情報を把握し、遵守できるようにしている。

 賈氏は、「従来の盗用は多くの場合、追跡が可能だったが、AIによる生成コンテンツは、学術不正のコストを下げ、より隠蔽しやすくした。技術特性上、固定的な基準ですべての行為を規定することは難しいため、教員・学生の自覚的なAI利用を高め、アウトプットに対する主体的責任を明確にすることが、大学教育の重要な課題となっている」と付け加えた。

 于氏も、「育成の観点から見れば、AIは人間の全面的な発展に寄与するべきものであり、中核的高次能力の育成や、教員・学生の批判的思考力や社会的コミュニケーション能力の向上を後押しする役割を担っている。この目標に反する行為は、『禁止』の範疇に含めるべきだ」と述べた。

その2 へつづく)


※本稿は、科技日報「多所高校为人工智能亮起"红绿灯"」(2025年12月10日付)を科技日報の許諾を得て日本語訳/転載したものである。

 

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