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【23-06】設計産業の新たな先進地を構築 河南理工大学テクノロジーパーク

孫 越(科技日報実習記者) 劉 琦 劉 靖毅(科技日報通信員) 2023年02月06日

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画像提供:視覚中国

240社

河南理工大学テクノロジーパークに進出した企業は240社を超えている。うち、国家級ハイテク企業が5社、国家テクノロジー型中小企業が49社となっている。同パークの企業が有している特許は計161件。今年7月末の時点で、同パークの納税額は2406万元(1元は約19.5円)に達し、「河南省仲介サービスパーク」や「河南省工業設計産業パーク」といった20以上の称号を得ている。

 河南省焦作市を流れる大沙河の北岸に位置する河南理工大学テクノロジーパークでは、タワークレーンが立ち並び、機械音が鳴り響き、建設機械が次々と行き交い、作業員が急ピッチで作業をするなど、活気あふれる光景が広がっていた。

 同パークは焦作市ハイテクパークが出資して建設された省級の大学テクノロジーパークで、投資総額は12億元、総計画面積は32万平方メートルとなっており、既に7万8000平方メートルが完成している。

サービスを向上させ、テクノロジー産業クラスターを構築

 河南理工大学テクノロジーパークに進出した企業は240社を超えている。うち、国家級ハイテク企業が5社、国家テクノロジー型中小企業が49社となっている。同パークの企業が有している特許は計161件。今年7月末の時点で、同パークの納税額は2406万元に達し、「河南省仲介サービスパーク」や「河南省工業設計産業パーク」といった20以上の称号を得ている。

 同パークは2019年に開園して以来、4年の発展を経て、「無」から「有」、「弱」から「強」への変化を遂げ、イノベーション発展の「明るい道」を切り開いてきた。この新しく成長した「イノベーションの都」は現在、新しい分野を発展させるための新たな道を切り開き、イノベーション発展の新たな優位性を全面的に築いている。

 同パークは発足時から、焦作ハイテクパーク内におけるテクノロジー産業クラスターの構築を目標としてきた。同パークの建設中のエリア内に、ハイテクプロジェクトが続々と集まり、カバー範囲が広く、関連施設が整っており、複数の産業チェーンが共存し、百花繚乱という発展の流れができているほか、科学研究や実験、学術交流、公共サービス、イノベーション成果移転・転化などが一体となったテクノロジーの特色を持つ主体の雛形が形成されている。

 力を十分に溜めて、力強く前進している。河南理工大学テクノロジーパークは、原有の基礎の上に、総合サービスセンターを立ち上げ、中原工業設計城と共同で専門化した産業サービスプラットフォームを構築し、パーク内の企業にサービスを提供し、工業設計産業の発展をサポートするほか、現地の資源賦存と市場ニーズにマッチした新興産業を育てることで、地域経済と社会の全面的な発展を推進している。

 河南理工大学テクノロジーパークに進出した河南参旬装飾設計有限公司といった設計会社は、管轄エリアの企業・事業機関に設計の相談・サービスを100回以上提供してきた。広東順徳潜竜工業設計有限公司は、厦工(焦作)機械有限公司のために新型フォークリフトを設計し、生産コストが25%低減し、販売価格が22%上昇し、全利益が150%も増加した。蘇州市尚科製品検測中心有限公司は、同パークに進出してから、売上高が40%増加し、食品検査業界における影響力も高まった。

 中原工業設計城を運営する河南同天投資有限公司のプラットフォームによるマッチングを通して、テクノロジーパークに進出した広州高瓴空間設計有限公司は、焦作澳特盛紙質容器工場のために、食品用容器・ケースを設計している。製品のうちの一つの年間売上高は約4800万元に達し、投資利益率は1∶960となり、珠江デルタエリアの1∶101を大きく上回っている。

縦方向と横方向を結び合わせイノベーションデザイン資源を集約

 河南理工大学テクノロジーパークは省級中原「設計+」ソーシャル・イノベーション・プラットフォームの認可を受けることに成功した。現時点で、同プラットフォームに進出している企業は40社以上となっている。うち、テクノロジー型中小企業が52%を占めている。同プラットフォームは、特色あるサービスを提供するために、横方向に資源を集約し、縦方向にサービスを展開するという、縦方向と横方向を結び合わせた取り組みを行っている。

 現時点で、同パークに進出した企業は250社以上に達しており、うち、設計系企業が34%、テクノロジー型企業が33%、ビジネス・貿易系企業が12%、教育系企業が2%となっている。また、国家ハイテク企業が5社、国家テクノロジー型中小企業が46社となっており、高度イノベーション人材800人以上、科学研究者300人近くが集まっており、焦作市、ひいては周辺地域において、イノベーションデザイン理念を普及させ、イノベーションデザインの魅力をPRする産業・文化の先進地となっている。

 今年3月、河南省党委員会の楼陽生書記は、研究視察の際、同委員会に対して「『河南設計』発展戦略を打ち出して以降、焦作市工業設計産業研究院と中原工業設計城は、具現化した工業設計発展の初の主体、初のプラットフォームとなった。『河南設計』の建設において、それらが省全体の企業の発展をサポートすることを願っている」と語った。

 河南理工大学テクノロジーパークが力を注いで構築した「8大プラットフォーム」が今、雨後の筍のように誕生している。同パークが構築した成果の孵化・転化プラットフォームは、特許転化サービスセンターを立ち上げ、金融サービスプラットフォームはベンチャーキャピタル、財務コンサルティング、中・短期融資といった融資専門サービス機関を重点的に呼び込んでいる。市場取引プラットフォームを構築し、教育設備の販売・流通のスタイルを革新し、全国教育設備体験型商品集散センターを構築した。また、ジェネリックテクノロジープラットフォームを構築し、関連の大学や科学研究機関、専門企業などと連携して、省級、国家級の工学技術センターの申請を積極的に進め、教育設備のユーザークライアントと実際の応用シーンの研究・イノベーションを強化した。ヒューマンリソースプラットフォームを構築し、業界の高度人材、プロジェクト、技術成果を重点的に呼び込み、産学研用(企業・大学・研究機関・実用化)融合イノベーションを推進し、教育設備を専門とした学歴教育と職業訓練の融合を推し進めている。このほか、ブランドPRプラットフォームは、政府、メディア、企業の優位的な資源を集約し、プロジェクト設計・研究開発、研修、研学などが集まる産業クラスターの優位性を活用して、プロジェクトが統一しているブランドイメージを築き上げると同時に、産業マッチングプラットフォーム、起業・孵化プラットフォームなども立ち上げている。

新たな道を切り開き工業設計の産業チェーンを構築

 河南理工大学テクノロジーパークと同天投資集団が共同で構築した中原工業設計城は、2019年に運営が始まって以来、工業設計中心を基礎とする姿勢を保ちながら、「設計+」を通して、産業チェーンの各部分を繋ぎ、産業を牽引する新たな道を切り開き、設計の新たな原動力を強化している。

「設計+テクノロジー」の分野を見ると、中原工業設計城は、3Dプリント公共サービスセンターと始豫設計スタジオを立ち上げた。同センターは、河南理工大学や焦作大学、河南工信学院を含む大学10数校、各種企業50社以上にサービスを提供している。中原工業設計城に進出した「始豫設計スタジオ」は、イノベーションデザイン資源の集約・マッチングに取り組み、イノベーションデザイン分野の大物と契約できるよう努め、設計、ブランドプランニング、プロジェクト孵化といった共有サービスを提供している。中原工業設計城には既に、設計専門会社や設計スタジオ、優秀なデザイナーチームなど、500社・チーム以上が集まっており、取引が成立した設計プランは累計で1000件以上に達し、中国の20都市・地区以上にサービスを提供している。

「設計+教育」の分野を見ると、中原工業設計城は、工業設計産業資源を集約するのをベースに、「設計+教育」を主線にして、工業設計とスマート教育が融合しながら発展する産業チェーンを構築し、リーディングカンパニーと関連の中小企業が協同発展する産業構造を作り出している。中原工業設計城はこれまでに、各種研学イベントを40回以上開催し、小中高生計3千人以上が参加してきた。そして、各方面の資源を集約して、学校の授業と融合させ、10以上のイノベーションデザイン系カリキュラムを打ち出してきた。

「設計+文化観光・文化クリエイティブ」の分野を見ると、中原工業設計城は、国華旅遊文化控股(広州)有限公司と戦略的パートナーシップを締結しており、焦作市の歴史的、人的・文化的特色を備えたエリアをさらに発掘する計画だ。

「設計+医療」の分野を見ると、中原工業設計城は現在、「医学成果の転化と医療機器イノベーション」を中核とした河南省医学イノベーション成果転化センターの建設計画を積極的に進めている。同センターは、中原工業設計城が河南省人民病院、広東順徳創新設計研究院と協力して建設する。中原工業設計城はさらに、「設計+テクノロジー+産業」という発展様式を堅持し、医療機器イノベーション産業拠点の建設を計画しており、医療設備などのイノベーション産業を次第に導入する考えだ。

 追い風が吹き始めれば、大海原に帆を揚げて出航する絶好の時となる。河南理工大学テクノロジーパークの李瑞哲社長は、「『設計河南』の呼び掛けの下、当パークは今後、イノベーション型の特色あるパーク構築を主な目標とし、革新駆動型発展戦略を踏み込んで実施し、『テクノロジー設計』の発展の歩みを加速させ、イノベーション資源を集約し、イノベーションプラットフォームを構築し、イノベーション能力を増強して、産業発展エコロジカルやイノベーション・起業エコロジカルの構築に注力する。テクノロジーイノベーション能力の増強、ハイテク産業の育成、メカニズム・体制改革、テクノロジー研究開発プラットフォーム建設、人材の導入・育成といった面でさらに大きな役割を果たしていきたい」と語る。


※本稿は、科技日報「搶抓平台建設,構築設計産業新高地」(2022年12月6日付7面)を科技日報の許諾を得て日本語訳/転載したものである。