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【24-101】全盛期を迎えた老化研究 健康に年を取る時代も遠くない?(その2)

宗詩涵、陳 磊(科技日報記者) 2024年11月07日

2023年末時点で、中国の60歳以上人口は2億9700万人で、総人口に占める割合は21.1%に達した。2050年前後には、60歳以上人口は4億8000万人に達し、世界の高齢者人口の4分の1を占めるようになると予想されている。中国は高齢者の規模が大きく、その速度が速く、情勢が厳しいため、老化メカニズムの研究と科学的な予防・抑制は急務となっている。

その1 よりつづき)

 陸軍軍医大学陸軍特色医学センター(大坪医院)神経内科の王延江主任医師によると、老化バイオマーカーは(1)健康に年を取っていても反応を示す(2)その変化の程度が大きくなると老化度が加速する(3)その変化の程度が小さくなると老化が遅れる、または老化プロセスが逆転して寿命が延びる、という3つの特徴を備えていなければならない。

 世界でも老化マーカーを対象とした研究が相次いで行われている。学者らは損傷の原因、応答、表現型という3つのレベルで、細胞老化、慢性炎症、生態系の混乱という老化の主な12の特徴をまとめている。また、遺伝や分子、構造、機能といったレベルで、老化バイオマーカー、生物学的老化時計を研究している。

 中国は2022年12月に中国老化マーカー研究コンソーシアム(Aging Biomarker Consortium, ABC)を立ち上げ、国内の学者と共同で老化バイオマーカーの研究を展開している。裴氏は「周到な熟考と入念な準備を経て立ち上げられたコンソーシアムには各分野の専門人材が集まっており、『分かりやすく、実用的』で科学的な老化度測定システムの構築に尽力している」と説明した。

 王氏は「ABCの主導の下、中国の科学者は、世界における老化研究の初期段階の全体像を描き出している。関連学者が体液、イメージング、機能という3つのレベルで、脳、心臓、血管、肝臓、骨格の老化バイオマーカーの枠組みを制定した。その他の組織・器官の老化マーカーの枠組みも制定中だ。こうした研究は、全身における複数器官の老化マーカーの研究に基礎を固めた」との見方を示した。

 中国は老化マーカーの研究分野で既に大きな進展を遂げているものの、解決する必要がある重要課題も数多く存在する。王氏は「今後、ヒト老衰コホート集団をさらに確立し、老化マーカーの研究にサンプルという面から強力なサポートを提供できるようにすべきだ。また、企業・大学・研究機関の連携を強化し、老化マーカー検査技術の臨床実用化・応用を推進する必要がある」と指摘。「老化マーカーによる正確な生物学的年齢時計の構築は、健康寿命、老化関連の疾病の予測、および老化介入効果のモニタリングに正確な尺度を提供できるようになる」と強調した。

疾病の予防・治療と健康管理を同時進行

 老化への介入は可能なのだろうか。中国人民解放軍総医院第二医学センター心内科の曹豊主任医師は「一部の特定の介入により、老化『時計』を遅らせたり、さらには逆転させることが可能だ」と説明する。

 例えば、幹細胞治療や内在性ウイルス阻害、プロバイオティクス応用、伝統的な中医学治療薬から抽出された有効成分などは、ある程度アンチエイジング治療の助けになる。曹氏によると、アンチエイジングワクチンやCAR-T療法を含む最先端のアンチエイジング治療もある。

 曹氏は「これまでの研究では、抗細胞老化薬の応用、合理的なカロリー制限、バランスのとれた食習慣、定期的な運動といった具体策が、老化の過程をある程度遅らせ、一部で逆転させることが分かっている。一方で、社会環境が原因のストレスや人との交流不足といった要素が老化を加速させる可能性がある」と述べた。

 健康に年を取るためには、重大な慢性疾患を予防する必要があるほか、日常生活における健康管理も軽視してはならない。曹氏は「現在の老化介入は健康な期間を長くし、病気の期間を短縮することに重きを置いている」とし、「運動や睡眠、環境、ストレスといった複数の面から着手し、積極的に行動を起こし、自分の健康を自分で管理する」よう呼び掛けている。

 今回の会議で専門家は「老化の科学的研究と予防・抑制技術のイノベーション、実用化・応用を推進する」「単一疾患の治療から老化の体系的な介入へ移行する」「疾患介入時期を前倒しすることで、体の機能衰退を遅らせる」「老化関連疾患を予防・治療することで健康的に年を取ることができるようにする」など、老化メカニズムと介入の研究でコンセンサスを得た。


※本稿は、科技日報「衰老研究"风华正茂" 健康老去愿景可期」(2024年9月24日付8面)を科技日報の許諾を得て日本語訳/転載したものである。

 

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