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【24-106】廃プラを分解する昆虫と細菌で「白色汚染」がなくなるのか(その2)

張 曄(科技日報記者) 陳 茜(科技日報実習生) 2024年11月14日

昆虫の腸内共生細菌がプラスチックを分解する速度は確かに速いが、実際のニーズを満たすにはまだほど遠い。昆虫の腸内共生細菌が産出する酵素だけでは限界があり、人工酵素を合成し、プラスチックの分解過程を最適化するなどして、分解の速度を上げる必要がある。

その1 よりつづき)

 昆虫によるプラスチック分解を実現するためには、研究者がさまざまな酵素の代謝プロセスを研究し、プラスチックの分解が可能で培養に適した酵素を見つけ出す必要がある。そして、遺伝子工学を通じて細菌を改変し、酵素を大量に生産できる「工場」にする必要があり、こうした計画が進められている。

 このほか、プラスチックを分解できる酵素の最適化と組み合わせを行うことで、プラスチックごみの効率的な処理を実現することも可能になる。

 江蘇大学環境・安全工程学院の孫建中教授は「科学者は今後も、プラスチックを分解する能力を持つ昆虫の腸内共生細菌を探すとともに、生物工学の手段を活用して、プラスチックを分解する酵素の活性と特異性を改良し、さまざまなタイプのプラスチックを効果的に分解できるよう取り組んでいく」と述べた。

プラスチック生分解の産業化には二方向からのアプローチが必要

 人工酵素はプラスチックの分解速度をある程度速めることができるが、人工酵素を大量に生産するためには、発酵工学や遺伝子工学、酵素工学といった分野の技術的難題を克服しなければならない。孫氏は「現時点で、一部の酵素は、実験室で大規模に純化できるようになっているが、産業化生産までにはまだある程度の道のりがある」と指摘した。

 そして「プラスチック分解の産業化を推進するだけでなく、二方向からのアプローチを行う必要がある。生分解性プラスチック技術を模索し、従来の石油原料のプラスチックに少しずつ取って代わるよう推進すべきだ」と語った。

 生分解性プラスチックの技術については、研究者がこれまでずっと模索してきた。

 孫氏率いるチームが実施した「バイオミミクリーをベースにした木質セルロースのハイバリュー化製品開発」プロジェクトの産業化検証がこのほど完了した。これにより、農作物の茎のセルロース/ヘミセルロースを、新たな前処理技術を通じて直接発酵させ、高純度のL乳酸に変換することに成功した。

 このプロジェクトの産業化実証ミッションを担当した中科康源(唐山)生物技術有限公司の張東遠董事長は「L乳酸は環境においてプラスチックを生分解するポリ乳酸の重要な合成原料だ。新たな前処理技術を通じて、1千トン規模の産業化実証生産ラインを作り上げた。生産ラインの技術レベル、規模は中国国内でトップレベルになっている」と説明した。

 中国科学院深圳先進技術研究院のチームはこのほど、微生物の胞子のゲノム編集を通じて、それをプラスチックに組み込み、生分解性の『生きた』プラスチックを作成した。そのプラスチックは、日常生活の使用において性能が安定しており、特定の条件下では胞子が活性化し、プラスチックを分解することができる。このほか、海南熱帯海洋学院の研究者は、海のマイクロプラスチックを分解できる微生物「Roseibium」を選定・培養し、海のマイクロプラスチック生分解技術という分野で重要なブレイクスルーを果たした。

 孫氏は「今後、生分解性プラスチックの生産と処理のプロセスを規範化するため、中国の関係部門が法律や法規、標準体制を整備するだろう。業界に明確な参考と監督の根拠を提供することで、生分解性プラスチックの安全性と環境親和性を保証する必要がある」と指摘した。


※本稿は、科技日報「靠昆虫和细菌能"吃掉"白色污染吗」(2024年10月8日付6面)を科技日報の許諾を得て日本語訳/転載したものである。

 

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