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【24-60】AIデジタルヒューマンが大人気、25年には市場規模480億元に(その1)

宗詩涵、薛 岩(科技日報実習記者) 2024年07月01日

2024中関村フォーラム年次総会で展示されたAIデジタルヒューマン。

 中国上海でこのほど開かれた第2回上海法治文化フェスティバルで、法律知識をPRする人工知能(AI)デジタルヒューマンが注目を集めた。複数のネットユーザーから「AIデジタルヒューマンが解説してくれたことで、堅苦しい法律がわかりやすくなった」との声が上がった。

 同フェスティバルにおけるAIデジタルヒューマンの導入は、個別の事例ではない。北京市では社会保険AIデジタルヒューマン「朝保宝」が導入され、住民からの社会保険関連の問い合わせに答えている。また、このほど開かれた2024中関村フォーラム年次総会で、中国工程院院士(アカデミー会員)の金涌氏が、2009年に亡くなった「中国宇宙開発の父」銭学森氏のデジタルヒューマンとの「時空を超えた対話」を行い、注目を集めた。

 デジタルヒューマンという概念は、20世紀末から21世紀初めに既に登場していた。近年、AIやバーチャルリアリティ(VR)などの技術が進歩し、AIデジタルヒューマンが急成長段階に入っている。調査会社の艾媒諮詢(iiMedia Research)がこのほど発表した「2024年中国バーチャルデジタルヒューマン産業発展白書」によると、2023年、中国のバーチャルヒューマンが牽引する産業市場規模が3334億7000万元(1元=約22円)、コア市場規模が205億2000万元に上り、25年にはそれぞれ6402億7000万元と480億6000万元に達する見込みとなっている。騰訊(テンセント)や阿里巴巴(アリババ)、京東などの大手企業も同分野に次々と進出し、市場の競争がますます激化している。

 デジタルヒューマンと比べて、AIデジタルヒューマンにはどんな新たな特徴があるのか? また、その発展のためには、どんな難題を解決する必要があるのか? これらの疑問について、業界の専門家と関係者に聞いた。

大きく高まったインタラクティブ能力

 デジタルヒューマンとは、デジタル技術を使って作成した人間と似た外見をしているデジタルキャラクターのことだ。ここ数年、AI技術による支えの下、デジタルヒューマンのスマート化インタラクティブ能力が大きく高まっている。

 中国伝媒大学文化産業管理学院の張洪生執行院長によると、デジタルヒューマンの発展は、人間主導からプログラム主導、そしてAI主導に至る3種類の変遷を経てきた。人間主導のデジタルヒューマンは、ユーザーの前にバーチャルデジタルキャラクターを映し出すことができるが、人間が言葉や動作などの面でサポートを提供する必要がある。プログラム主導のデジタルヒューマンはデータバンクの言語に基づいており、機械的な受け答えしかできない。それに対し、AI主導のデジタルヒューマンは、自然言語を話す面で、より本当の人間に近く、非常に高いインタラクティブ能力も備えている。

 騰訊雲(テンセントクラウド)AIデジタルヒューマンの劉晶プロダクトマネージャーによると、同社が中信建投証券と共同で打ち出したインタラクティブ可能なクラウドAIデジタルスタッフは、人物の顔画像収集やモーションキャプチャ、2Dモデリングといった技術を駆使して、従業員のイメージを高度に再現している。実際の業務において、口座開設などの作業ができるほか、顧客が手続きの流れや注意事項などを理解できるようにサポートし、顧客が遭遇した問題を解決するなど、非常に高いインタラクティブ能力を備えている。

生産のハードルは今後さらに低くなる

 劉氏は「AIデジタルヒューマンのコアテクノロジーは、コンピューターグラフィックスやモーションキャプチャ、画像レンダリングなどの分野をカバーしている。技術のイテレーションに伴い、AIデジタルヒューマンの作成効率とインテリジェンスレベルが持続的に高まっている。大規模AIモデルの支えにより、AIデジタルヒューマンの生産のハードルはさらに低くなり、『セルフ式』の生産・作成が実現するだろう」と述べた。

 AIデジタルヒューマンは、独自の知識を導入することで、何でも知る「スーパーブレイン」を持つようになり、各業界のユーザーに対して、より正確で個別化されたインタラクティブサービスを提供できるようにもなる。

 劉氏は、自動化された「AI+デジタルヒューマン工場」が今後の発展の方向性になる可能性があると見ている。現在、騰訊雲は大量のAIデジタルヒューマンのイメージやカスタマイズされた音声を効率的かつスピーディーに処理できるようになっており、さまざまな業界やシーンに適用できるさらに多くのAIデジタルヒューマンサービスの開発も進んでいる。今後は、より専門性が高く、「アウト・オブ・ザ・ボックス(入手後すぐに使える)」のAIデジタルヒューマンが実現する可能性がある。

その2 へつづく)


※本稿は、科技日報「AI数字人何以成为行业"香饽饽"」(2024年5月20日付6面)を科技日報の許諾を得て日本語訳/転載したものである。

 

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