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【24-74】新エネ貯蔵の発展にはビジネスモデルの革新が必要(その1)

何 亮(科技日報記者) 胡軼慧(科技日報実習生) 2024年08月08日

湖南省懐化市通道トン族自治県にある電気化学エネルギー貯蔵発電所。(画像:李尚引、視覚中国)

 米電気自動車(EV)大手、テスラの超大型産業用蓄電システム「メガパック(Megapack)」の生産工場である「メガファクトリー」の建設がこのほど、中国上海市の臨港新エリアで始まった。テスラが米国以外で「メガパック」の生産工場を建設するのは今回が初めて。業界関係者は「メガパック」が中国のエネルギー貯蔵システムほどの価格競争力を備えていないものの、工場の完成は中国の関連企業のイノベーション力をさらに引き出すと見ている。

 中国はここ数年、新型エネルギー貯蔵の開発・利用を加速させている。中国国家エネルギー局が発表した統計によると、2023年末現在、中国国内で稼働している新型エネルギー貯蔵設備容量は3000万キロワット(kW)を超えている。新エネ貯蔵は現在、再生可能エネルギー産業の安全で効果的な発展を後押ししている。

モデルプロジェクトの実施が加速

 中国では一連の関連政策や計画の実施、および技術の改良に伴い、新型エネルギー貯蔵プロジェクトの推進が加速している。

 世界初の電熱溶融塩エネルギー貯蔵蒸気発生試験ステーションがこのほど、遼寧省の遼河油田で稼働した。この試験ステーションでは、電力需要の少ない時間帯に電気を利用して溶融塩を加熱し、電気を熱エネルギーに変換して溶融塩に蓄熱し、高温の「溶融塩」を熱源にして蒸気を作り、周辺の高温度油井に蒸気を提供する。その蓄電規模は15メガワット(MW)で、年間4万8000トンの水蒸気を生産する。これにより、天然ガス313万立方メートル分の代替が可能で、6768トンの二酸化炭素排出を削減できる。中国石油遼河油田設計院の孫雁伯院長によると、溶融塩には「溶融温度が高い」「固体から液体への融解熱が大きい」などの特徴があり、エネルギー貯蔵の媒体だけでなく、伝熱の媒体にもできるという。

 内モンゴル自治区の草原の奥地には、三峡集団科学技術研究院の主導で建設されたウランチャブ電源・電力網・負荷・エネルギー貯蔵技術研究開発試験拠点がある。ここでは、コンテナのようなエネルギー貯蔵キャビネットがずらりと並んでおり、7種類の新型エネルギー貯蔵技術の実証実験が行われている。

 拠点内のエネルギー貯蔵実験室に入り、キャビネットのドアを開けると、固体リチウムイオン電池や新世代バナジウムレドックスフロー電池など、新型エネルギー貯蔵のテクノロジー・ロードマップを模索する実験設備が稼働していた。

 三峡集団は2020年から、中国科学院や清華大学など20以上の中国トップレベルの研究機関・大学と協力してここで実験を行い、将来のさまざまなシーンにおけるエネルギー貯蔵システムの大規模応用に向けたソリューションを模索している。

 現在、新型エネルギー貯蔵方法は主に、物理的エネルギー貯蔵、電気化学エネルギー貯蔵、電磁エネルギー貯蔵の3つに分類できる。そのうち、現時点で業界でもっとも多く導入されているのは電気化学エネルギー貯蔵だ。三峡集団科学技術研究院のウランチャブ電源・電力網・負荷・エネルギー貯蔵プロジェクト部の韓俊飛主任は「電気化学エネルギー貯蔵には、転換効率が高い、反応速度が速い、柔軟に配置できるなどの特徴があり、電力システムのピーク調整や周波数調整などのニーズを満たすことができる。なので、優位性は際立っているが、その特性ゆえにサイクル寿命や経済性、環境保護などの面で制約がある」と説明した。

 電気化学エネルギー貯蔵と比べると、物理的エネルギー貯蔵には環境にやさしいという特徴がある。

 拠点内では、多源蓄熱式圧縮空気エネルギー貯蔵プロジェクトが最終段階に入っていた。同プロジェクトでは空気圧縮機とタービンを利用して電気エネルギーを貯蔵することができる。

 韓氏は「圧縮空気エネルギー貯蔵は物理的エネルギー貯蔵の一種であり、サイクル寿命が比較的長い。しかし、初期投資が比較的高く、地理的条件や応用シーンで制約があり、出力が小規模なユーザーのエネルギー貯蔵には向いていない。エネルギー貯蔵方法のメリットとデメリットはそれぞれ異なり、適用できるシーンも異なる。今後、各種エネルギー貯蔵方法と電源・負荷のマルチエネルギー相互補完や連携稼働が、業界の新たな発展方向になるだろう」と見解を述べた。

その2 へつづく)


※本稿は、科技日報「新型储能"走得远" 商业模式需创新」(2024年6月11日付6面)を科技日報の許諾を得て日本語訳/転載したものである。

 

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