【24-77】「秒速回答で丁寧だけど問題解決できない」AIサービスの解決策は?(その2)
付鋭涵(科技日報記者) 2024年08月19日
新興技術が急速に普及し、AIカスタマーサービスが各業界で応用される一方で、ユーザーからは意思疎通が難しいという不満の声も聞こえ、顧客体験が大幅に低下している。では、どのようにすれば、AI技術を応用しながら顧客体験を高めることができるのか。この点について、専門家に聞いた。
(その1 よりつづき)
問題解決のカギは継続的なスマート化
北京航空航天大学公共管理学院の張路蓬副教授は「AIのサービス分野における応用を促進するために、対応能力と協同管理を高めるという2つの面から着手することができる。前者はサービスの効果と関係があり、後者は人とスマートが相互補完して、効果を高めるカギとなる」と述べた。
そして「多くのユーザーは、事業者がサービスだけでなく、情緒的価値も提供することを願っている。さらに温かみのあるスマートサービスを提供するためには、スマートサービスが創造的なコンテンツを生成する能力を継続的に最適化しなければならない。企業にとって、AI発展をめぐる熾烈な競争において、技術面で機先を制し、革新的製品を打ち出すことは、自分たちと産業の発展のために原動力を蓄えることにつながる」と強調した。
技術レベルの最適化や調整のほか、科学的かつ合理的にAIを使用することも重要だ。
利便性という視点から見ると、AIサービスの活用には超えるべきハードルがまだ残っている。張氏は「例えば、多くの医療機関は、自動受付番号発行サービスや自動精算サービスを導入しているものの、事前に必要な情報全てを、人手で入力しておく必要があり、ユーザーにとっては、面倒なことが自然と増えることになる。スマートサービスを一本化する設計を、いかに整備するかというのも、サービスプロバイダーが考慮すべき課題となっている」と指摘した。
そして「一般の人々は、一つのサービスをひたすら信頼したり、それに依存することはできないし、よく分からないことやリスクがあることを理由に、ある種のサービスを利用しないということもできない。スマートサービスと人によるサービスは、相互補完や相互サポートの関係にある。スマートサービスと人によるサービスの相違点と共通点をはっきり見分けてはじめて、両者が相互補完し、効果を高め、『1+1>2』という目標を達成することができる」と見解を述べた。
スマートサービスと人によるサービスの協同は3種類のモデルに分けることができる。1つ目は、スマートサービスをメインとして協同するタイプだ。このような状況下では、スマートサービスが優先的に使用され、ユーザーのニーズを満たすことができない時に、人によるサービスが介入する。2つ目は人によるサービスがメインとなって協同するタイプだ。例えば、医療サービスの分野など、カスタマイズや差別化が必要なサービス分野においては、人によるサービスが主導する必要があり、スマートサービスは判断をサポートすることができる。3つ目は二者が併存する協同モデルだ。
張氏は「分野によってニーズも異なるため、1つのパターンをひたすら使用したり、機械的にそれを使用することはできない。企業などのスマートサービス応用の主体は自分たちの業務のニーズに合わせ、2種類のサービスを合理的かつ柔軟に利用すべきだ」と述べた。
このほか、AIサービスに付きまとう可能性のある情報漏洩といったリスクについて、専門家は「既存の関連法律・法規や具体的な応用シーンに基づいて、さらに細分化した監督・管理を行うべきだ」と訴えた。
※本稿は、科技日報「AI服务如何用得上又用得好」(2024年7月5日付6面)を科技日報の許諾を得て日本語訳/転載したものである。