【25-036】「日常業務の15%以上を代行」AIエージェント時代が現実に(その1)
崔 爽(科技日報記者) 2025年04月28日

遼寧省瀋陽市和平区政務サービスセンターで、スタッフの案内の下、AI政務サービスAIエージェントを体験する市民。(画像提供:視覚中国)
中国発の大規模言語モデル「DeepSeek(ディープシーク)」は低コストと高性能で爆発的な注目を集め、中国国内の各業界で導入が進んでいる。同モデルはAIアプリケーションの思考能力を強化し、ユーザーニーズを理解し、満たすことを可能にするという。
AI開発スタートアップ企業の蝴蝶効応(Butterfly Effect)は3月初め、「世界初の汎用AIエージェント」と称するAIエージェント「Manus(マヌス)」を発表した。
阿里巴巴(アリババ)は3月中旬、AIアシスタント「新夸克(Quark)」を発表した。スーパーAIエージェントを構築し、極めてシンプルな「AIスーパーフレーム」によって、ワンストップ式でユーザーの多様なニーズを満たすとしている。
では、AIエージェントとは何だろうか。今年に入り、それらが次々と「開花」しているのはなぜだろうか。また、AI業界にとって、AIエージェントは何を意味し、今後どのような方向へ向かうのだろうか。
自律的な意思決定
分かりやすく説明すると、AIエージェントは、外部環境を感知し、自律的に意思決定を行い、タスクを実行するスマートアシスタントだ。ユーザーの言葉を理解し、その意図を把握するとともに、状況を判断し、タスクを実行することができるというものだ。
つまり、AIエージェントは、人とAIが協働する重要なインタラクションパラダイムを提供するものだ。このモデルでは、AIはインタラクティブ性、自律性、適応性という特徴を発揮し、独立した行動者へと近づく。一方、人間は監督や評価者という役割を果たすことになる。このような協働方式は、AIの自律性と代理能力を強調しており、人間が直接介入しない状況下で、タスクを実行できる。例としては、ユーザーの代わりにメールの返信やスケジューリングを行うことが挙げられる。
アリババ集団の呉嘉副総裁は「これまで、ユーザーが問題に直面した時、検索機能を使って情報をチェックし、自分で必要なものを選んで、処理していた。しかし、今は、AIに直接タスクを指示し、AIが思考・計画・実行している。この過程で、AIは検索AIエージェントなど複数のエージェントと協働することで、最終的にタスクを遂行している」と説明した。
推論モデルやマルチモーダルなどの技術が徐々に成熟するにつれて、各AI開発企業は関連製品を競うように発表しており、AIエージェントは各シーンのワークフローに組み入れられるようになっている。ITアドバイザリー企業のガートナーは、2028年までに日常業務における意思決定の少なくとも15%がAIエージェントによって自律的に行われるようになり、33%の企業ソフトウェアにもエージェントが組み込まれると予想している。また、25年はAIエージェント商用化元年になるとの見方もある。
スーパーアプリケーションの構築
ここ2年ほどでAI技術が急速に進化しており、業界はモデルの能力向上に一層注目している。モデルの能力は既に十分高まっており、AIとユーザーをどのように結び付け、サービスを提供するかが業界の焦点となっている。
金沙江創業投資基金のマネージングパートナーである朱嘯虎氏は「優れたモデルだけでなく、優れたアプリケーションも必要だ。開発者は今後、アプリケーション分野でチャンスを見出さなければならない。AIアプリケーションは今後、爆発的な成長が予測されており、チャットボットの形態にとどまらない新たなスーパーアプリケーションが登場する可能性もある」との見解を述べた。
AIエージェントは、まさにAIアプリケーションの実装と発展を推進する重要な存在となり得る。
(その2 へつづく)
※本稿は、科技日報「超级智能体时代渐行渐近」(2025年3月24日付6面)を科技日報の許諾を得て日本語訳/転載したものである。