【15-002】「第2回日中環境ワークショップ」を開催
2015年 5月18日 (中国総合研究交流センター)
社会技術研究開発センター(RISTEX)企画運営室、中国総合研究交流センター編集部
日中双方の研究者や企業関係者が環境分野における課題に対し議論を深め、今後の協力体制の構築に向けた検討へとつなげることを目的とした第2回日中環境ワークショップが4月18日、山 梨県富士吉田市で開催された。本ワークショップは国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)と中国科学院(CAS)の共催によるもので、日本と中国の各大学・研究機関の研究者、政府・企 業関係者ら約60人が参加し、広域化する環境問題について専門的な議論が行われた。
ワークショップ前日の17日夕には、会場入りした日中の参加者を集めたレセプションミーティングが開かれ、中国大使館の阮湘平公使参事官が来賓として祝辞を述べた。
(左)写真1 阮湘平公使参事官/(右)写真2 朱永官所長
ワークショップは全体会議と分科会で構成され、全体会議ではJSTの外村正一郎理事および中国科学院都市環境研究所の朱永官所長が開会の辞を述べ、ワークショップがスタート。日 本の国立環境研究所の住明正理事長と中国科学院生態環境研究センターの傳伯傑院士がそれぞれ基調講演を行った。
(左)写真3 住明正理事長/(右)写真4 傳伯傑院士
分科会は「資源リサイクル」と「PM2.5 による大気汚染」に分かれて進められ、京都大学環境安全保健機構附属環境科学センターの酒井伸一センター長(教授)と北京大学都市環境学院の陶澎教授(院士)が それぞれのセッションで基調報告に立ち、12のテーマを中心に、計32本の発表と議論が行われた。
(左)写真5 陶澎教授/(右)写真6 有馬朗人センター長
「資源リサイクル」分科会では、循環型社会のための実装技術開発など8つのテーマで発表と議論が行われた。また、今後の共同研究に向けて具体的な研究課題や観点も提示された。一方、「PM2.5 による大気汚染」分科会では、PM2.5等の測定技術とモニタリングなど4つのトピックで最新の研究成果を共有し、研究開発の方向性について議論を行った。さらに、学 際的アプローチによる新しい方法論や適正技術等について提言がなされた。
全体会議の最後にはJST中国総合研究交流センター(CRCC)の有馬朗人センター長が閉会の挨拶を行い、環境分野における日中間のさらなる協力拡大を呼びかけた。
写真7 参加者による集合写真
その後、中国の専門家チームは九州に移動し、20日に福岡県の北九州エコタウンを視察。北九州産業学術振興機構(FAIS)を訪れ、意見交換会を行った。FAISでは、國 武豊喜理事長が自ら中国の専門家チームを出迎え、櫃本礼二センター長が産業都市としての北九州市の概要、産学官連携の取り組み、公害克服の歴史等について紹介した。中国側の参加者からは「(日本の)市民、企業、行 政が一体となり、環境汚染・公害問題を克服した」北九州市の取り組みに強い関心が寄せられたという。
写真8 北九州エコタウンにて見学
今回の日中環境ワークショップは2014 年2 月に中国科学院都市環境研究所(中国・厦門市)で開催した第1回に次ぐもので、2013年3 月にJSTの中村道治理事長と有馬センター長が中国科学院を訪問した際、同院の白春礼院長との会談で開催が決定した。ワークショップは「広域化している環境分野の課題に対し、日中が連携して社会科学、シ ステム工学、都市工学等を含む学際的な取り組みやシステムズアプローチにより、将来の解決に向けた課題と協力の方向性を見出す」ことが基本コンセプトとなっている。
日中環境ワークショップの開催に当たっては、中国科学院国际合作局が全面的にサポートし、邱華盛副局長が今回も会議に参加した。なお第3回日中環境ワークショップは中国で開催される予定である。