新疆ウイグル自治区、110メートルの大口径電波望遠鏡を建設
中国科技日報 2012年 1月11日
新疆ウイグル自治区の優れた天文観測環境を活用するため、中国科学院新疆天文台は奇台県に110メートルの大口径の全方向可動の電波望遠鏡を建設する。建設後は月や火星の観測等、遠 距離観測の重要設備として、基礎科学研究の需要を満たす。
新疆ウイグル自治区の40数カ所の地点に対する事前調査の結果、110メートルの大口径電波望遠鏡は奇台県石河子村の東西約1.5キロメートル、南北約2キロメートルの地点にある、4 方向を山に囲まれた長方形の盆地に建設されることとなった。同盆地は東側と南側の標高が高く、西側と北側の標高が低い(標高は約1730−1830メートル)
情報によると、同電波望遠鏡の科学目標には、パルサーの観測研究、恒星の形成と変化に関する研究、高精度のVLBI(超長基線電波干渉法)、天体動力学、宇宙空間VLBI研究、活動星状形の研究、未 知の天体の発見等があり、科学利用は主として以下の3点である。1、VLBI遠距離観測(月と火星の観測、軌道測定の応用を含む)。2、パルサー遠距離自主ナビゲーションの応用。3、パ ルサー天体による時間の基準。
同時に、新疆天文台南山観測基地は既存の25メートル電波望遠鏡を基礎とし、2期建設を実施する。建設中・建設予定プロジェクトには、光電望遠鏡の建設、1メートル大視野天文望遠鏡の建設、8 0センチメートル光学望遠鏡の建設があり、1.6メートルのレーザー測距望遠鏡の建設を予定している。南山観測基地は世界で重要なVLBIベースステーションであり、中 国月面観測プロジェクトVLBI軌道測定システムの4つのベースステーションの1つである。25メートル電波望遠鏡は世界の同口径の望遠鏡のうち、観測回数と科学研究産出が最多の設備である。同 基地は10数年間にわたり、約300のパルサーに対して長期モニタリングを実施しており、中国唯一のパルス到達時間のデータバンクとなっている。