中国9都市のPM2.5排出源が特定へ
2015年 4月 7日 金 振(中国総合研究交流センター)
2015年4月1日、環境保護部は、去年から着手したPM2.5排出源特定プロジェクトの第一段階の成果について発表した。本プロジェクトは、環境保護部が2013年に開かれた第39回国務院常務委員会議の決定に基づき、大気汚染対策が急がれる地域を対象に、該当地域のPM2.5排出源に関する調査報告を求めるものである。
環境保護部は、北京市、天津市、石家庄市、上海市、寧波市、南京市、広州市、深セン市など、いずれも500万人以上の人口を抱えている9都市を調査地域として指定した。これらの都市を所管する地方政府は、環境保護部が指定した期限までに排出源特定に関する調査報告書を提出する必要があり、提出された報告書は、中国科学研究院や中国工程院といったトップクラスの研究機関のレビューを受けた後、国務院に提示される。9都市の調査報告書はすでに国務院に提出されたが、一般公開までには至っていない。現段階で公開されている情報によれば、以下のような点が明らかになった。
4大排出源
まず、9都市におけるPM2.5排出源は、共通して、自動車排ガス、工業部門直接排出(粉塵等)、石炭燃焼、粉塵(道路や建築粉塵)の4つの分野(ルート)に集中していることが分かった。4分野に由来するPM2.5原因物質は、全体の85%から90%を占める(図1)。
図1 各都市における最大排出源の内訳
出典:人民網「环保部将严查各地环境检测数据 9城市锁定大气污染来源」に基づき、金が作成
http://politics.people.com.cn/n/2015/0402/c70731-26786750.html
最大汚染源はまちまち
つぎに、各地域における最大排出源はそれぞれ異なる。例えば、北京市や広州市などの経済発展地域における最大排出源は自動車排ガであるのに対し、石家庄市や南京市は石炭消費活動が最大排出源となっている(図1)。天津市の場合は、都市開発が盛んである関係上、道路粉塵や建築工事に伴う粉塵が最大排出源となっている。大気汚染対策は、エネルギー分野や交通分野に限らず、都市管理分野までに拡大していることが分かる。
他地域からの飛来した汚染物質も重要な発生源
他地域から飛来した汚染物質も重要な発生源であることが分かった。例えば、杭州市の場合、他地域から飛来した汚染物質が全体の6割を占めるとの報告もある(表1)。汚染行為者と汚染責任者が一致しない問題は、引き続き政策担当者の悩みの種として残る。2015年末まで、さらに26の大都市が排出源特定に関する調査報告書を提出予定である。今後、個々の地域取り組みを超えた広域対策が、一層求められる。
表1 各都市における排出源の割合
出典:以下の記事、論文に基づき、金が作成
http://epaper.bjnews.com.cn/html/2015-04/02/content_569540.htm?div=1
http://news.sina.com.cn/o/2015-04-02/061931672907.shtml