ASEAN経済貿易閣僚代表団がこのほど高速列車に乗り、上海から北京に到達した。全長1318キロメートルに及ぶこの高速鉄道は所要時間が約5時間で、開通してから2年間で乗車率が急速に上昇しており、ピーク時であれば最短で5分おきに発車している。新華社が伝えた。
李克強総理は代表団と会見した際に、ASEAN経済貿易閣僚が中国の南方から高速列車に乗り、北京を訪問したことを賞賛した。李総理は、「これは中国の高速鉄道の、名実相伴うロードショーだ」と語った。
同時に、海外の多くの国も高速鉄道の建設ペースを加速している。オーストラリアはインフラ改善に積極的で、初の高速鉄道の建設に向けフィージビリティスタディを進めている。タイ運輸省の高速鉄道建設計画によると、タイは今後7年内に4本の高速鉄道の建設を完了する。米国、ロシア、マレーシア、シンガポール、ブラジル、トルコなどの国も、高速鉄道の発展を積極的に推進している。
中国は営業距離が世界最長の高速鉄道を保有し、積極的に海外の高速鉄道建設に参与している。中国企業は海外で高速鉄道展を開き、中国の指導者も異なる場面において中国製の高速鉄道をPRしている。
◆総理が自らセールス
李総理は先月のタイ訪問期間、インラック首相と中国高速鉄道展に出席した。「中国・タイ関係発展長期計画」によると、中国はタイ高速鉄道建設に参画する意向で、さらに工事費用の一部をタイが農産物で支払うことを検討しており、タイも歓迎を表明している。この提携は、「米と高速鉄道のバーター貿易」と比喩された。
李総理はそれから間もなく北京で、オーストラリアのブライス総督と会見した際に、中国の高速鉄道を紹介し、「中国の高速鉄道は技術が先進的で、安全で信頼性が高く、コスト面でも優位を占めている。高速鉄道を巡り、双方で提携を検討していきたい」と語った。
◆3つの競争力とは?
技術・安全性・コストという3大優勢が、中国の高速鉄道の競争力を形成している。
中国鉄路総公司科技管理部の周黎部長は、「中国は長年に渡り、世界の先進的な高速鉄道技術を吸収・消化・学習し、参考にし、自主革新により独自の技術を形成した。これは世界各国の高速鉄道技術発展を集約したものだ。中国は世界各国の高速鉄道技術を集約する能力と経験を持っている」と述べた。
中国の高速鉄道の営業距離は1万キロに迫っている。快適でスムーズな高速鉄道は、中国人の外出の幸福感を大幅に高めた。京滬高速鉄道公司は、「今年6月30日には京滬高速鉄道(北京?上海)の開通2周年を迎え、乗客数が前年同期比4割増となった」と表明した。
中国工程院院士、鉄道専門家の王夢恕氏は、「中国の高速鉄道の1キロ当たりの費用は1億3000万元(約20億8000万円)に達する。これに管理費用と立ち退き料を加えると、1キロ当たり約2億元(約32億円)となり、日・英・独などの国を下回る。中国の高速鉄道がネットワークを形成すると、産業化の優位によりさらにコストが引き下げられた」と説明した。
中国の高速鉄道の海外進出も加速されている。中国南車股フェン有限公司はこのほどイタリアから受注を獲得し、高速鉄道のコア部品であるボギーを提供することとなった。これは中国の高速鉄道のコア部品が、欧州市場に認められたことを意味する。これまでにも、中国高速鉄道のアルミ合金車体のモジュールが、欧州向けに輸出されていた。
北京交通大学経済管理学院の李紅昌准教授は、「高速鉄道の全面的な輸出は、単純な貿易輸出ではなく、経済・貿易・金融などのさまざまな要素と関連するため、双方の高官が共同推進する必要がある。中国とタイの高速鉄道提携モデルが形成されれば、その他の国家での普及に期待できる」と述べた。
李准教授は、「中国の時速200キロ・250キロの高速鉄道は成熟した使用経験を持ち、高い国際競争力をつけており、輸出の重点分野になるべきだ」と話した。