江蘇省常熟市で11月4日午前、一台の無人自動車とベテランドライバーが運転する自動車が同時に出発した。狭い道路、急カーブ、カラーコーン、さらには人為的に作り出されたスモークなど、数多くの試練が設けられた。結果、この北京理工大学が開発した無人自動車は、さまざまな障害物を突破し、一つの交通違反もせず、ベテランドライバーの自動車とほぼ同時にゴールインした。中国科学報が伝えた。
記者はこのほど常熟市で、第5回中国スマートカー未来チャレンジカップの魅力を体感した。無人自動車はいつごろ大規模生産され、身近なものになるのだろうか。中国工程院院士の李徳毅氏を含む多くの専門家は、この夢が数十年内に実現されると予想した。
◆無人自動車の魅力
中国科学院合肥物質科学研究院先進製造技術研究所所長の梅涛氏は、「この無人自動車は通常ならば、道路上での最高速度が時速50キロに達し、直線で他に車のない道路上であれば120キロに達する。無人自動車で重要になるのは、レーダーやカメラなどのセンサーとコンピュータだ」と語った。
梅氏は、「レーダーやカメラは、無人自動車の目に相当し、道路情報を集め、内蔵されたコンピュータにより分析を行う。コンピュータには事前に入力された道路の模型があり、人類のように道路状況を観察し、それに対して分析と判断を行う。これは無人自動車の大脳に相当する。無人自動車はこれらを経てから、最終的に反応の指示を出す」と説明した。
多くの人にとって、無人自動車は未だに夢の様なハイテク技術である。ところが中国は実際には、早くから無人自動車の発展に取り組んでいた。
◆コア部品の国産化率が課題に
グーグルは無人自動車の試験を許可された、世界初の企業となった。中国の無人自動車は海外と比べ、どの点が優れており、どの点が劣っているのだろうか。
梅氏は、「中国の無人自動車とグーグルは、技術面でそれぞれ長所を持っている。中国の無人自動車のスマート化水準は米国に劣っておらず、やや上回っているほどだ」と指摘した。
しかし梅氏は、「無人自動車のセンサーなどのコア部品については、中国は依然として輸入の必要がある。コンピュータの分析に使用されるソフトは中国産だが、3Dレーダーなどの一部の部品は海外に依存している。中国産無人自動車のコア部品の国産率は低く、将来的にこれを高めていかなければならない」と認めた。
中国スマートカー未来チャレンジカップを主催する国家自然科学基金委員会も同問題を意識している。同委員会は今後、無人自動車のコア部品の開発の支援を検討する計画だ。
◆中国産無人自動車、実用化の時期は?
梅氏は、「楽観的な予測かもしれないが、個人的には約15年で、中国産の無人自動車が一般人に提供されると思う」と語った。
李氏は、「現在の無人自動車のスマート化水準はさらなる改善が必要であり、かつコストも割高であるため、実用化までまだ時間がかかる」と予想した。