2019年02月18日‐02月22日
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北京の炭素市場、各機関の計算能力が向上

2019年02月18日

 清華大学、マサチューセッツ工科大学、武漢大学などがネイチャーの関連誌「Nature Climate Change」にこのほど、最新の研究成果を共同発表した。それによると、2012-15年の間に、北京市の炭素排出権取引市場が初めて導入した400軒以上の機関が自己報告したデータと、第3者機関が調査によって導き出したCO2(二酸化炭素)排出データの差が平均17%から平均4%に低下した。各機関が自ら作成した排出報告書のミスの数は、平均3.7個から1.9個に減少した。北京市の炭素市場の各機関の炭素計算及び報告の能力がいくらか上がった。北京日報が伝えた。
 炭素排出権取引市場は「炭素市場」と略称される。これは中国が世界的な気候変動に対応するための厳粛な約束だ。炭素市場は市場メカニズムにより省エネ・炭素排出削減を推進する重要な政策ツールだ。排出削減のコストを効果的に削減することで、温室効果ガス排出抑制の目標を達成し、技術進歩と産業構造のアップグレードを着実に推進する。これは中国の生態文明制度建設の重要な内容でもある。中国は2011年より北京などの7省・直轄市で、地方炭素取引テスト事業を開始した。温室効果ガスの排出を抑制し、大気汚染ガバナンスを共同で展開するように、北京市政府は2014年5月に「北京市炭素排出権取引管理規則(試行)」を発表した。北京の炭素取引市場のルールを明確にした。
 清華大学原子力・新エネ技術研究院の張希良氏が率いるエネルギー管理・気候政策チームはこれまで、北京市テスト事業炭素市場及び全国炭素市場のカギとなる制度の研究・設計を担当した。
 上述した研究は、北京市と湖北省で行われた2つの炭素市場テスト事業を対象とし、炭素市場に関わる機関が自ら報告したデータと、第3者調査機関が調査の上で明らかにしたCO2排出データを比較・分析し、炭素市場の運営を支える企業のCO2排出報告と調査方法について研究を掘り下げた。研究によると、2つのデータの差は炭素市場政策が始まってから数年後に明らかな低下が見られた。例えば北京市の炭素市場が当初導入した400機関以上の関連データの差は2012年の平均17%から14年、15年の平均4%に低下した。また北京市の各機関が自ら作成した排出報告書のミスの数は、平均3.7個から1.9個に減少した。さらに見落としや、炭素市場のルールへの理解の不足により生じた報告ミスが大幅に減少した。
 同研究は計量経済学モデルを使い多くの検査を行ったが、データ報告と調査における機関の意図的なデータ改ざん、調査機関との共謀などの事態が確認されなかった。同研究は、データ報告と調査メカニズムの有効な運営により、各機関の炭素計算・報告能力がいくらか高まったとした。
 中国生態環境部(省)が発表した公式情報によると、中国気候変動事務特別代表の解振華氏は昨年12月10日、生態環境部と世界銀行などが共催した「中国パビリオン気候変動会議」において、「2018年10月現在、中国の地方炭素取引テスト事業7省・直轄市の炭素排出権取引量は2億6400万トンで、取引額は約60億元(1元は約16.4円)にのぼった」と明らかにした。

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