中国の科学研究チームが神経可塑性に基づく新型脳型学習法(NACA)を開発した。これにより、現在の人工ニューラルネットワークに普遍的に存在する「破滅的忘却」の問題が効果的に解決でき、新型脳型チップ設計がさらに進むとみられる。関連成果はこのほど、国際的学術誌「サイエンス・アドバンシス」のオンライン版に掲載された。新華社が伝えた。
論文の筆頭著者で、中国科学院自動化研究所の張鉄林副研究員は、「人工ニューラルネットワークは誤差逆伝播学習法(BP)などの人工学習法を採用しているため、人工知能(AI)システムが新たなタスクを学習する、または新たな環境に適応する際に、以前に習得した能力を失う可能性がある。この現象は『破滅的忘却』と呼ばれ、AIシステムの安定稼働に悪影響を及ぼす」と説明した。
生物システムによく見られるドーパミンやセロトニンなどの神経調節物質は往々にして特定の腺から分泌され、遠く拡散し、一定範囲内の標的神経細胞集団に到達する。そして濃度調節水準の違いに基づき、局部の神経細胞可塑性やシナプス可塑性など複数の影響を及ぼす。
科学研究チームは今回の研究において、上述した生物神経調節メカニズムから啓発を受け、NACAを開発した。チームはその後、典型的な画像・音声のパターン認識タスクにおいて、この新型脳型学習法の評価を行った。その結果によると、従来のアルゴリズムよりもエネルギー消費量が少ない上、「破滅的忘却」の問題を極めて大幅に緩和できることが分かった。