脳地図はどれほど重要なのだろうか。中国科学院脳科学・スマート技術卓越イノベーションセンターの李澄宇研究員によると、これは化学の元素周期表のようなもので、周期表があれば物質の構成が理解できるように、脳地図があれば、脳疾患や脳機能の背景にある作用メカニズムが探究できる。中国新聞網が伝えた。
著名学術誌「セル」は北京時間12日、「アカゲザル大脳皮質単細胞空間分布マップ」に関する研究論文をオンライン版に掲載した。この研究により、世界で初めて単細胞分解能でのアカゲザル大脳皮質単細胞空間分布マップが誕生した。
研究は同センター(神経科学研究所)や華大生命科学研究院など、中国内外の研究チームによって行われた。
脳の理解は難しい。霊長類の脳神経細胞数は膨大で、相互につながることで神経ネットワークを形成している。これらの細胞とネットワークの異常が複数の脳疾患をもたらす。脳疾患の研究をさらに進めるためには、脳の「周期表」を先に理解する必要がある。
アカゲザルは人類に最も近いモデル動物だ。その脳は人間の拳ほどの大きさで、中には60億個以上の神経細胞が含まれる。研究者は「十分に複雑だが、人間の脳よりはシンプル」と語る。
李氏は「研究者がやっていることは、国勢調査に似ている。つまりサルの脳にどのような細胞があり、これらの細胞がどの位置にあるかを明らかにすることだ。そうすれば大きなデータ集を形成できる。科学研究チームはこのデータ集を発掘し、多くの興味深い現象を発見した。例えば興奮性ニューロン、抑制性ニューロン、非ニューロンの大脳皮質における分布には顕著な特異性があり、つまり異なる細胞がどこに位置するかについては、一定の法則性がある」と説明した。
作業量が非常に多いことから、研究チームは今回、アカゲザルの左脳から研究を開始した。李氏は「脳疾患は現在、診断と治療が依然として難しい。このマップの今後の主な用途の一つは、脳疾患メカニズムの理解をサポートすることだ。将来的にこのマップを利用し、脳疾患治療の新たなターゲットを見つけ、診療の新たな方向性を見出すことが可能となる」と述べた。
サイエンスポータルチャイナ事務局が、中国の科学技術に関するニュース記事を人民網と共同通信の記事より選んで、日々届くフレッシュなニュースとしてお届けしています。
下記よりご覧ください。