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内陸なのに豊漁? 新疆の養殖業が急成長

2023年09月13日

 中国新疆ウイグル自治区ではこのところ、サーモンやティラピア、バナメイエビなどの水産物が「豊漁」になっている。同自治区カシュガル地区マルキト県にある養殖拠点で育ったザリガニが市場に出回り、水産物市場の「新たな人気商品」になっている。

 現地で養殖されているのはオーストラリア原産のレッドクロウ・クレイフィッシュという食用ザリガニで、個体のサイズが大きく、1匹の重さが100~200グラムになる。数年前に同県が導入し、試験を重ね、養殖テストを本格的にスタートした。6月に稚ザリガニを放流し、精密な管理を行い、餌を与えた結果、質の高い食用ザリガニに成長し、今では市場の人気商品となった。

 同自治区はユーラシア大陸の内陸部に位置し、「海から最も遠い場所」とされるが、イリ地区ニルカ県は冷水魚の養殖に最適な場所だ。地区の3大冷涼エリアの1つである同県は、猛暑になることはなく、天山山脈に沿って流れるカシュ川には氷河の雪解け水が流れ、水深6メートル以上の場所は水温が年間を通じて10度以下で、冷水魚の成長に非常に適した自然条件が備わっている。

 2014年、ニルカ県が冷水魚類の成長に最適であることから、新疆天蘊有機農業有限公司が投資してサーモン繁殖拠点を建設した。22年11月1日、デンマークからサーモンの卵160万粒が同県に到着し、同社の繁殖センターで孵化が始まった。24年末には約3000トンのサーモンが出荷できる見込みで、同県の冷水魚の付加価値を高めるものとして期待されている。

 新疆ウイグル自治区各地では、冷水魚だけでなく、資源を活用した養殖拠点作りが行われ、ティラピアやバナメイエビ、クルマエビ、ノコギリガザミ、スズキ、ハタなどが養殖されている。「土地がやせて荒涼としている」という印象をもたれるゴビ砂漠だが、今では新鮮でおいしい水産物を生み出す養殖拠点となっている。

 
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