2023年10月02日-10月06日
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中国の科学者、バイオミメティクス低炭素新型建材を開発

2023年10月02日

 中国科学院理化技術研究所の研究チームは、自然界のサンドキャッスルワームの巣作りの様子から着想し、低温・常圧条件下で力学的性能が優れたバイオミメティクス新型建材を作り、建築分野の省エネルギー・排出削減に新たなアプローチを提供した。関連成果はこのほど、学術誌「Matter」に掲載された。新華社が伝えた。

 論文の責任著者で、同研究所研究員の王樹濤氏は、「従来のセメント建材は生産過程で大量のエネルギーを消費し、同時に大量の炭素を排出する。新型低炭素建材の開発には重要な意義がある」と述べた。

 中国内外ではここ数年、砂やスラグなどの固体粒子を粘着剤でつなげて天然由来の建材を作ることが試みられた。だがこの種の材料は強度が低く、実際の建築の需要を満たすことが難しかった。

 研究チームは今回の研究で、バイオミメティクスを採用し、天然のバイオミメティクス低炭素新型建材を設計した。論文の筆頭著者で、同研究所博士課程生の徐雪濤氏は、「サンドキャッスルワームは陽性と陰性のタンパク質が混ざった粘液を分泌することで、砂をつなげて頑丈な巣を作る。ここからヒントを得て、チームは陽性の四級化キトサンと陰性のアルギン酸ナトリウムを使ってバイオミメティクス接着剤を作り、あらゆる固体粒子をしっかりつなげた」と説明した。

 王氏は「この天然由来のバイオミメティクス低炭素新型建材は圧縮強度が17メガパスカル(MPA)に達し、通常の建材の基準を満たす。この材料はさらに優れた耐老化性と耐水性、独自のリサイクル性能があり、低炭素建築分野で高い応用のポテンシャルを持つ」と語った。

理化技術研究所

 
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