中国貴州省博物館は9日、同省安順市平壩で見つかった恐竜化石群が最新研究により今から約1億9000万年前のものであることが分かったと発表した。化石には少なくとも3頭の成年個体と5つの巣の恐竜の卵約50個が含まれていた。また一部の恐竜の卵は胚発生段階にあった。これは世界で最も古い卵と成体を留めた恐竜化石となっている。中国新聞網が伝えた。
研究は貴州省博物館、中国地質大学(武漢)、雲南大学、中国科学院古脊椎動物・古人類研究所によるもので、研究成果はこのほど「National Science Review」(電子版)に掲載された。
貴州省博物館自然部の曾嶸主任によると、平壩恐竜化石は1999年に見つかった。貴州省博物館と平壩の関連部門による共同調査隊はその後、野外で大量の恐竜化石を発見した。化石には保存状態が良好な頭部や後頭部の骨が含まれており、また恐竜の成体、亜成体、卵、胚などの化石が同じ場所にあることが分かった。研究者はこれに基づき「守護黔竜」を新属新種と特定して命名した。これは貴州省が初めて正式に命名した恐竜となった。
保存されている材料から推算すると、守護黔竜の成体の身長は6メートル以上で、体重は1トンにのぼる。系統発生分析によると、守護黔竜は雲南省で見つかった雲南竜の仲間で、原竜脚類から竜脚類へと向かう過渡期にあった。
曾氏によると、守護黔竜の最も大きな巣から16個の卵が確認されたが、巣に破損がみられ、当時の完全な姿を留めていない。それぞれの巣の骨格の発育状況の観察と評価により、これらはいずれも近い発育段階にあり、同時に孵化したことがわかった。これは現代のウミガメに似ているという。
研究者は今回の研究で関連する基礎を踏まえ、恐竜を含む210分類群の爬虫類を集め、現時点で最大の爬虫類卵進化データバンクを作り上げ、群れの繁殖や同時孵化、歩行中の姿勢の変化など、早期恐竜の行動を明らかにしている。