2023年11月27日-11月30日
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水素で走る電動アシスト自転車、中国で続々と登場

2023年11月28日

 中国山西省曲沃県で暮らす陳小竜さんの最近の移動手段は、水素で走る電動アシスト自転車だ。水素を動力に用いたこの自転車は今、中国で新たなエコ移動手段となっている。新華社が伝えた。

 曲沃県の行政中心地にある病院や広場、公園、商業施設の周辺幹線道路の両側には、水素で走るシェア自転車100台が並んでおり、スマートフォンで2次元バーコードをスキャンするだけで利用できるようになっている。

 料金は30分で0.5元(1元=約21円)、航続距離は70キロ。陳さんは「水素電動アシスト自転車は乗るのがとても楽で、全く新しい体験だ」と話す。

 水素電動アシスト自転車を開発した永安行科技は、グリーン低炭素、環境にやさしい商品を主に開発しており、2018年から水素エネルギー産業に参入している。

 同社水素エネルギー市場部の販売ディレクター、王兵氏は「既に江蘇省常州市や上海・臨港新エリア、麗江市の古城などで、水素電動アシスト自転車を大量投入している。今後は北京や深圳、武漢などでも展開する」と紹介。「われわれの自転車は、衝撃や燃焼など複数の限界テストに合格している。そのため、安全性を心配する必要はない」と自負した。

 水素エネルギーは将来の中国国家エネルギー体制の一部として組み込まれている。中国国家発展・改革委員会と国家エネルギー局が2022年に共同で打ち出した「水素エネルギー産業発展中長期計画(2021~35年)」では、「水素エネルギーのクリーン低炭素というメリットを十分生かし、エネルギー使用機器やエネルギー消費・汚染物質排出が多い業界のグリーン低炭素へのトランスフォーメーションを推進する」としている。

 中国の複数の省が水素エネルギー産業関連政策を打ち出しており、一次市場では、水素エネルギーへの投資が盛り上がりを見せ、水素電動アシスト自転車産業の急発展が推進されている。例えば、江蘇省は「水素電動アシスト自転車汎用技術要求」という地域標準を打ち出し、10月22日から施行された。水素エネルギーの研究企業や生産企業11社と検査認証機関がこの標準制定に参加した。

 初期段階ではあるものの、多くの業界関係者が水素電動アシスト自転車産業の成長を見込んでいる。水素エネルギーを活用した「ゼロカーボン」物流業を展開する山西天恒氫能科技の景志強総経理は「中国の水素エネルギー産業の発展は急成長段階に入っている。新技術が応用された水素電動アシスト自転車の市場は大いに将来性がある」との見方を示した。

 
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