2023年11月27日-11月30日
トップ  > 科学技術ニュース >  2023年11月27日-11月30日 >  タクラマカン砂漠で「土壌化技術」によるチカラシバの試験栽培に成功

タクラマカン砂漠で「土壌化技術」によるチカラシバの試験栽培に成功

2023年11月29日

 中国新疆ウイグル自治区のタクラマカン砂漠にあるチャルチャン(且末)県の「砂漠土壌化」試験実証プロジェクト実施地点で、4カ月に及ぶ努力が実を結び、チカラシバの試験栽培に成功した。今回の成功により「砂漠土壌化」生態修復技術を実施する上で基礎が築かれ、「砂漠の砂を土へ変える」という新たな試みが実現した。

 チカラシバはイネ科の多年草植物で、日光が十分にある生育環境を好み、耐寒性があり、湿気や寒さに強いという特性を備え、飼料や堤防を固定して砂を防ぐ植物として用いられる。チカラシバの防砂・治砂と生態修復が一体となった機能が持続的に発揮されることは、同県が砂漠土壌化改良を実現するための新たな活路になると期待されている。

 力学的観点から生まれた「砂漠土壌化」生態修復技術によって、砂が土のような力学的特性を持ち、それによって水・養分・空気・滋養に富んだ微生物を蓄える能力を備えることで、砂が植物の生育にとって優良な土壌になることが可能となる。

 同県では、チャルチャン(車爾臣)河東側の砂漠地帯に、長さ約25キロ、幅1~7キロに及ぶ生態緑地帯の建設を始めている。現地では砂嵐が大幅に減少し、年平均降水量が大幅に増えた。衛星リモートセンシングによるモニタリング結果から、同県における砂漠化は効果的に抑制されていることが明らかになっている。

 
※掲載された記事、写真の無断転載を禁じます