南極は隕石の宝庫と言われている。このほど開かれた2023中国極地科学学術年次総会で、中国の観測隊員が南極のグローブ山で月の隕石を発見したことが明らかになった。隕石は国際的慣例に従い「GRV150357」という個別番号が付けられ、国際隕石学会隕石命名委員会の審査を経て承認された。新華社が伝えた。
今回、隕石の分類を担当した桂林理工大学隕石・惑星物質研究センター副センター長の夏志鵬博士は「この貴重な月の隕石は中国第32次南極観測隊がグローブ山で収集したもので、重さ11.74グラム、サイズは約18×22×28ミリで、全体的に黒色で明らかな角礫岩構造を持つ」と説明した。
夏氏は「この隕石には金属が含まれず、溶融クラストもない。一見したところほとんど隕石のように見えなかったが、もし隕石なら極めて特殊なものに違いないと思った」と述べた。夏氏は規範的な隕石分類作業フローに基づき、この隕石のサンプルを薄片にし、走査電子顕微鏡で観察した上で、電子プローブで分析した。
この隕石は鉱物構成が地球の岩石と大きく異なっており、大量のインパクタイトやガラスの破片は、隕石が複数回の複雑な大型衝突を経たことを示している。これは月のサンプルでよく見られる特徴で、鉱物化学成分なども月の隕石と一致した。
夏氏は「暫定的な研究によると、これは複雑な鉱物の破片を含む角礫岩で、月の高地と月の海の異なる岩石破片の組み合わせでできている。これは月の地殻の複雑な岩性を知るための理想的な対象であり、中国による月のサンプル研究を補完するものでもある。われわれは隕石サンプルのさまざまな破片の研究を深め、その特定を試み、月の地殻変化の歴史に対する理解を深めていきたい」と語った。
南極隕石には天体化学・科学研究における重要な意義があるほか、南極の氷床の変化の歴史に対する重要な示唆的意義も持つ。グローブ山は隕石の宝庫で、中国の南極観測隊員は1998年よりグローブ山を7回調査し、計1万2665個の隕石を収集し、現在まで6192個の分類作業を終えている。