貴州大学貴州電波天文台、中国科学院国家天文台、北京大学の研究チームは、「中国天眼」と呼ばれる500メートル球面電波望遠鏡(FAST)のサーベイデータを利用し、世界最大規模の中性水素(電離していない水素)銀河サンプルを構築し、公開した。これにより、世界中の銀河・宇宙学研究者に対し、高品質な大規模サンプルの観測データが共有された。関連成果は学術誌「中国科学:物理学 力学 天文学」の巻頭記事に掲載された。新華社が伝えた。
中国天眼中性水素サーベイ(FASHI)はわずか3年で約7600平方度のサーベイ観測を完了し、4万1741の中性水素銀河サンプルを発見した。サンプル数とデータの質は中国内外の他の中性水素サーベイプロジェクトを上回っており、今後5年間で10万以上の中性水素銀河を観測する見通しだ。
水素は宇宙における天然存在比が最も高い元素で、銀河の重要な構成部分だ。中性水素は銀河の異なる進化段階に広く存在する。中国天眼はかすかな中性水素銀河を探査する能力を持つツールで、これまでの中性水素サーベイよりも高いスペクトルと空間分解能を持ち、カバー範囲が広く、データの信頼性がより高い。
研究チームは、現時点で世界最大の中性水素銀河サンプル、近傍銀河の中性水素ガスの分布、大スケール構造観測データを世界の研究者に向けて共有した。サーベイデータは銀河の低質量側における中性水素質量関数の研究、暗黒物質の性質の制限、未知の銀河の発見、宇宙の大スケール構造や進化の研究などにとって重要な意義を持つ。
