2023年12月18日-12月22日
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「南極天目」時間領域天文望遠鏡アレイのプロトタイプを開発

2023年12月20日

 中国科学院上海天文台は15日、「南極天目」時間領域天文望遠鏡アレイのプロトタイプの開発に成功したと明らかにした。新華社が伝えた。

 中国科学院上海天文台が2019年に打ち出した「南極天目」プロジェクトは、南極に100基の小口径広視野望遠鏡からなる光学望遠鏡アレイを設置する計画だ。1基の望遠鏡の視野は約100平方度で、地平線から30度以上の1万平方度の宇宙エリアをカバーする。毎年の極夜(南極で1日中太陽が出ない日)に連続的な観測を行い、短時間スケール時間領域天文学観測研究分野の重要なブレイクスルーを目指す。

 同プロトタイプの責任者でシニアエンジニアの周丹氏は「このプロトタイプは自然資源部(省)中国極地研究センターの力強い支援と協力により、中国第39次南極観測期間中に中山基地に運ばれた。観測隊員は設備の設置・調整を行い、今年2月20日に観測を開始してから10月26日に観測を終了するまで故障は発生しておらず、南極の極夜に大量の観測データを取得した」と説明した。

 上海天文台のチームが観測画像を分析した結果、同プロトタイプの30秒の露光写真のうち、9等星以上の恒星の測光精度は1000分の1等級に達した。この測光精度は「南極天目」時間領域天文望遠鏡アレイの観測条件を満たしており、同プロトタイプが設計の革新性や環境適応性、ドリフトスキャンCCD技術の応用性、運営の信頼性などの面で合理的かつ実行可能であり、開発に成功したことを物語っている。

 周氏は「技術の進歩に伴い、現代天文学は静的な宇宙の描写から動的な宇宙の認識に発展している。長期的なマルチバンド観測を通して、宇宙における各種天体の変化を解明し、各種の新天体、新現象を発見し探査する。これは天文学における新しい分野である時間領域天文学だ。時間領域天文学はすでに天文学における牽引的な役割を持つ重要先端分野になっている。プロトタイプは中国初のドリフトスキャンCCD技術に基づく南極天文観測設備だ」と説明した。

 ドリフトスキャンCCD技術は、上海天文台が20年近くにわたり研究開発を続けてきたコア技術だ。同技術により望遠鏡は駆動機構がなくても天体を追跡でき、同時に1本の赤緯ゾーンに対して連続的に観測し、システムの信頼性とサーベイの効率を大幅に高めることができる。

 周氏はさらに「同プロトタイプは南極で氷点下37.3度の最低気温、最大風速38.6メートルの厳しい環境を乗り越えた。設備の稼働が安定的で、観測画像の画質が優れており、ドリフトスキャンCCD技術の一体型構造設計の極地天文分野における応用の優位性を示している。南極天文望遠鏡に頻繁に起きる故障の問題を効果的に解決する見込みだ」と述べた。

 中国科学院上海天文台の沈志強台長は「『南極天目』プロジェクトは今後、時間領域天文望遠鏡アレイの完成機を開発し、南極への設置を目指す」と語った。

上海天文台
 
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