2023年12月25日-12月29日
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浙江大学の科学者、ホッキョクグマの毛皮のような保温素材を開発

2023年12月28日

 浙江大学の研究チームはホッキョクグマの毛皮の構造にならい、エアロゲルを密封した超保温人工繊維を作り出した。この素材は保温性に優れ、軽くて薄く、丈夫という特徴を持つ。研究成果は22日、国際的学術誌「サイエンス」に掲載された。新華社が伝えた。

 今回の成果は浙江大学化学工程・生物工程学院の柏浩教授と、高分子科学・工程学系の高微微副教授のチームによるものだ。

 柏氏によると、ホッキョクグマは保温性が非常に高い毛皮のおかげで、氷点下40度の環境に適応できる能力を備えている。研究チームはホッキョクグマの毛が中空構造で、内部に「静止した」空気を大量に含んでおり、毛の1本1本すべてに1層の殻があることを発見した。電子顕微鏡で見ると、この殻の厚さはおよそ20ミクロンで、毛の直径の4分の1弱を占めている。

 この発見からインスピレーションを得て、研究チームは約6年の歳月をかけて、新しいタイプの「核-殻」構造を持つ繊維を作りあげた。繊維の中心は高分子エアロゲルで、その内部には直径10~30ミクロンの細長い小さな穴が分布している。小さな穴は同じ方向に並んでおり、それはまるで空気を保管する「倉庫」のような働きをする。繊維の表面にはTPU(熱可塑性ポリウレタンエラストマー)の外殻が1層あり、内部のエアロゲルを覆っている。

 柏氏は「『核』は非常に高い保温性を実現する。繊維内部の小さな穴の方向とサイズを調整することで、赤外線の放射を封じ込め、熱の流失を防ぐことができる。『殻』は強靱性と頑丈さを実現し、繊維に優れた力学的サポートを提供しており、摩擦や引っ張り、水洗いに耐えることができる」と述べた。

 研究者は氷点下20度に設定された冷凍庫の中で、ダウンジャケット、ウールセーター、メリヤスシャツ、そして「ホッキョクグマセーター」を着用し、その保温効果を検証した。これにより、衣料品の表面温度の上昇が少ないほど、人の熱量の流失が少なく、その保温性が高いことがわかる。

 実験開始から数分後にはメリヤスシャツの表面温度が10.8度上がり、ダウンジャケットは3.8度上昇した。厚さがウールセーターに近く、ダウンジャケットのわずか3分の1から5分の1ほどの「ホッキョクグマセーター」の表面温度は3.5度しか上がらなかった。

 柏氏は「ホッキョクグマの毛から、大自然が『核』と『殻』に各自の役割を与えていることがわかった。生体工学の本質は問題解決法を大自然から学ぶことだ。大自然の秘密を明らかにし、新たな知識を発見することで、人々の生活を改善する新材料を作りだす。これは生体工学の使命であり、チームが長年にわたり、取り組み続けてきたことだ」と語った。

 
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