中国広東省肇慶市鼎湖区の「グリーン魚」水産標準化生態養殖拠点では、「水揚げだ!」という声とともに、丸々と太った彩虹鯛がグリーン養殖コンテナの口から飛び出し、滑り台を通って輸送車へと運ばれていた。従業員は「養殖用のいけすには約2500キロの魚が入っており、この方法を使えば10分で終わる。以前の方法なら作業員10人が午前中ずっと網を引いていた」と述べた。人民日報海外版が伝えた。
養殖拠点では、魚は面積約66.7ヘクタールの池からコンテナサイズの養殖用いけすに移され、グリーン食品認証に合格した16種のエサを食べており、「グリーン魚」として国家グリーン食品の認証を受けている。「泥臭くない」「生で食べられる淡水魚」であるグリーン魚が販売されると、消費者から高い評価を受けた。
グリーン魚水産標準化生態養殖拠点の責任者を務める観星農業の舒鋭董事長は「池の泥に含まれるゲオスミンにより、池で育てる魚には多少の泥臭さがある。これを落とすためには魚により良い新たな環境を作る必要がある。池はエリアに分割され、面積が最も大きいエリアを水源としている。表面に豊富な酸素を含む水をそこから汲み上げて殺菌処理した後、養殖用いけすに流す。魚は絶えず流れる水の中で育ち、水の流れに逆らって運動することができ、肉質の弾力性が上がる」と説明した。
舒氏はさらに、「これまでの定位置での養殖とは異なり、エリア別で養殖と処理を行っている。これまでの方法は魚を同じ部屋に入れ、飲み食いも排泄も同じ場所で行っていたため、環境の影響によって病気になりやすかった。われわれの方法は魚に『3LDK』を与えるようなもので、食べる場所と運動する場所を変え、定期的に善玉菌と微生物を与えることで、魚の腸内菌のバランスを整える。また養殖用いけすの水の溶存酸素やpH値、微生物の種類、藻類の存在度などの指標を人手で管理している」と説明した。
拠点の栄養士は魚のために、グリーン食品生産資料認証に合格した16種のエサを特別に注文し、定期的に多糖類やビタミンなどの栄養食品も与えている。こうした科学的な養殖により、業界でも珍しい「グリーン食品」と「全国名特優新(特色のある良質で革新的な著名ブランド)」という2つの認証を取得した。舒氏は「コードスキャンによる追跡にも対応しており、各ロットの魚にサンプリング検査を行い、コードスキャンによってその結果を確認できる」と述べた。
これらのグリーン魚、特にデリケートな熱帯魚の彩虹鯛を、北方地域を含む中国全土に販売するのは容易なことではない。
アリババ傘下のスーパーである盒馬の水産物調達ディレクターの劉勝兵氏は1年前、チームを率いて中国各地を回り、販売に適した魚を探していた際に、広東省の「グリーン魚」を発見した。劉氏は「グリーン魚の第1陣は北京に輸送した後、半分ほどしか生きていなかった。そこで輸送車における水の交換の時間や酸素、活力度などを全過程で記録したところ、積載の密度と温度に問題があることが分かった。数カ月の実験を経て、ようやく問題が解決し、デリケートなグリーン魚に個別の水槽を与えることで生存率を95%に高めた」と説明した。
グリーン魚水産標準化生態養殖拠点が盒馬村に発足したことについて、農業農村部(省)中国グリーン食品発展センターの金発忠主任は「グリーン魚の養殖は中国農業の現代化発展の成果を示している。盒馬のようなニューリテールプラットフォームがデジタル化されたサプライチェーンの能力を活用して、中国全土の物流配送によって、優れた農産物を中国全土の市場に広める必要がある」と語った。
これらのグリーン魚はすでに北京市、上海市、武漢市、成都市など、中国全土の20以上の都市にある「盒馬」300店以上に進出している。同社のデータによると、中国全土での販売開始から2カ月足らずで、グリーン魚は1日当たり1万尾が販売されており、消費者の間で人気となっている。