中国では「臘八(旧暦12月8日、今年は1月18日)」を過ぎると、年越しの準備が本格化する。EC大手・京東でも年越し用品セールが始まり、中国各地の年越し料理や珍味が人気を集めている。京東では今回、セールの開催にあたり、ユーザーに対して一風変わった電話での告知を行った。中国新聞網が伝えた。
この電話告知はAI(人工知能)を活用したもので、京東雲言犀技術がサポートを担当。人気ドキュメンタリー番組「舌で味わう中国」のナレーションで知られる李立宏氏の音声を採用し、「李氏の声を聞くとお腹が空いてしまう」というユーザーに対し、商品の色や香り、味までも伝えるものとなった。
同社のアルゴリズムエンジニアによると、電話告知の開始前に何度もテストを行ったが、多くの人が電話の声を聞いてすぐに李氏の声だと分かり、とても興奮していたという。このエンジニアは「言犀スマートコールシステムはユーザーの感情を認識し、それに合った適切なフィードバックをする。食事を制限してダイエットしたいというユーザーに対しても、しっかり食べるようにアドバイスできる」と説明した。
言犀のチームは、AI技術に対して人情味を持たせ、対話ロボットがマニュアル通りに単純に回答するのではなく、ユーザーの感情の変化を理解して反応するべきだと考えている。特にカスタマーサービスでは、これまでのAIは言い方が冷たくて人情味が欠けていたが、技術によってこうした感情の不足を補うことで問題点を効果的に解決し、ユーザーとの心のこもった交流につながるとしている。
感情認識は同社のコア技術が優位性を持つ分野となっている。感情認識の難点はデータソースで、他のデータのように生成することができず、実際に蓄積する必要がある。同社では、感情のシードデータを作り、京東カスタマーサービスが長期にわたって蓄積した対話データベースとマッチングさせ、持続的な自己学習とバージョンアップによって感情認識を分類し、認識の精度を高めている。京東は2018年に、業界初の大規模商用感情スマートカスタマーサービスシステムを構築し、20年には「京東スマート感情カスタマーサービスライフチャンネル」を開設。言犀では現在、7種の典型的な感情(怒り、焦り、喜びなど)を正確に認識できるようになっている。