世界初の国際マングローブセンターがこのほど、中国広東省深圳市に設立された。同市は過去10年間で累計43.33ヘクタールのマングローブ林を修復し、生物多様性のモニタリングや水鳥生息地保護、生態系の科学的修復を全面的に展開。科学教育を幅広く推進し、生態保護が都市生活の隅々まで浸透している。人民日報が伝えた。
マングローブ林は中国語で「紅樹林」と呼ばれるが、これは大半のマングローブ植物の樹皮が、空気中の酸化によって赤褐色を呈する「タンニン酸」を豊富に含むからだ。葉の色を見れば、ほとんどのマングローブ植物が一年中緑色であるため、マングローブ林は赤く見えない。マングローブとは特定の植物を指すものではなく、熱帯や亜熱帯の海岸の潮間帯で生長する木本植物群落の総称だ。
深圳市全体では現在、マングローブの面積が296.18ヘクタールとなっている。福田マングローブ湿地を中心とする深圳湾は、世界の渡り鳥の移動ルートにおける重要な経由地と越冬地になっており、毎年10万羽近くの渡り鳥がここで生息する。
内伶仃福田国家級自然保護区管理局シニアエンジニアの楊瓊氏は「マングローブは鳥類に食糧を提供する場だ。鳥類が深圳湾に来たいかどうか、ここでしっかり食べているかどうかが、マングローブ生態系の健全性を評価する重要な指標になっている」と説明した。
深圳市はここ数年、マングローブ生態系の機能を大幅に高めるため、現地に適した複数のマングローブ湿地生態修復プロジェクトを実施してきた。マングローブの人工栽培や鳥類が生息する干潟の造成などにより、2020年より25.72ヘクタールのマングローブ造成・修復を行っている。
深圳市マングローブ湿地保護基金会浜海保護プロジェクト上級保育専門家の戎燦中氏と同僚たちにとって、生態モニタリングは最も中心的な日常業務となっている。内伶仃福田国家級自然保護区は現在、地上・空・宇宙一体化モニタリングシステムの応用を行っており、鳥類の動向をリアルタイムでキャッチし、鳥類の種類と数を迅速に識別し、生態モニタリングの重要情報を効率的に取得している。
モニタリングによると、深圳湾ではマングローブの外来植物が大幅に増加し、干潟の面積が減少していることが分かっており、スタッフはこうしたバランスの問題に直面している。
深圳大学大湾区マングローブ湿地研究開発センターの周海超研究員は「マングローブの保護はマングローブの面積が広いほど良いわけではなく、余白を残すことが生態保護になる場合もある。マングローブ植生の持続的な拡大により、渡り鳥が羽休めできず、エサを探せなくなる可能性がある。これは最終的に渡り鳥の種類と数に深刻な影響を及ぼす可能性がある」と語った。
マングローブ保護関連のスタッフは最終的に、鳥類優先の原則を堅持することを決めた。「食糧倉庫に生物がいないというわけにはいかない。生物が脅威にさらされれば、食糧倉庫はそれに応じた調整が必要になる」と述べた。
深圳河の河口では、マングローブと干潟の面積比を3:1とし、約15ヘクタールのマングローブ植生の除去が完了した。マングローブの外来植物の大規模な除去は、鳥類に生息空間を与える修復措置で、中国では初のケースとなった。
大鵬新区壩光銀葉樹(サキシマスオウノキ)湿地園には、50万平方メートルのマングローブ原生林と人工マングローブの壩光自然学校がある。ここ数年、100回以上の各種イベントが開かれ、オンライン・オフライン合わせて約1万人が参加しており、市民がマングローブ生態系に対する理解を深めるための「自然教室」を形成している。
