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生成AI搭載スマホが今後の主流に? シフトを加速させる中国メーカー

2024年03月11日

 春節(旧正月)を祝う中国の国民的年越し番組「2024年春節聯歓晩会(通称「春晩」)」のリハーサルで、司会者数人が舞台裏からAI(人工知能)が搭載されたスマートフォンを使って視聴者に新年の挨拶をしたのをきっかけに、多くの人がAI搭載スマホ(以下、「AIスマホ」)を知ることになった。AIスマホはアプリではなくスマホの計算能力によって、ユーザーが必要としているサポートを直接提供することができる。今年、中国市場における次世代AIスマホの出荷台数は3700万台に達する見込みで、27年にはその数が1億5000万台となり、次世代AIスマホの市場シェアが50%以上になると予測する機関もある。中国新聞網が伝えた。

 今年1月にサムスンが発表したAIスマホが人々の注目を集めた。アップルも次世代iPhoneに生成AIを搭載するのではないかとの声もある。スマホからAIスマホへの進化が今、業界で大きな流れとなっている。華為(ファーウェイ)や栄耀(honor)、小米(シャオミ)、OPPO、vivoといった中国のスマホメーカーも大規模モデルをスマホに搭載するなど、この流れに沿った動きを示している。

 そんな中、スマホメーカーの魅族(Meizu)はこのほど、従来のスマートフォンの開発を終了し、AIにすべての経営資源を集中させる「All in AI」というプロジェクトを発表した。また、OPPO創始者の陳明永氏も従業員向けのメモで「2024年はAIスマホ元年となるだろう。今後5年間にAIがスマホ業界に与える影響は、スマホがフィーチャーフォンに取って代わった時の影響に匹敵するだろう。業界の発展段階という観点から見ると、AIスマホはフィーチャーフォン、スマホに続く、スマホ業界の第三段階になる」との見解を示した。

 AIスマホは具体的にどんなことができるのだろうか? 現在発売されているAIスマホを見ると、生成AIが得意とするファイル整理のほか、便利な画像処理機能がある。例えば、写真に写り込んだ不必要な人物や背景、逆光が原因の光線などを「ワンタップ」で削除できる。こうしてAIが自動処理した写真は、人間が時間とエネルギーを使って専門の画像処理ソフトで処理するよりも自然な仕上がりとなる。

 ではアプリを使って画像やテキストを処理するのとはどんな違いがあるのだろうか? AIスマホの最大の違いは、スマホ本体の計算能力を頼りに処理する点だ。これらの機能を実現するためには、以前はアプリを通して、情報をクラウド上に送らなければならなかったため、処理速度や反応速度に一定の影響があった。それに対してAIスマホは「スマホとクラウドの連携」が実現しているため、大量の計算が必要となる複雑な作業はクラウド上で行うが、一般的で簡単な作業はスマホ本体に搭載されている大規模モデルで処理することができ、作業効率が大幅に向上している。

 業界関係者は「AIスマホは商用化の初期段階にある。現在、大規模AIモデルを情報検索やテキスト処理、画像処理などに応用する試みが始まっており、今後、スマホメーカーは、大規模モデルと音声アシスタント機能の融合をさらに進め、デバイス上のAIとクラウド上のAIのバランスを取り、大規模モデルと新たな分野や機能の融合にチャレンジするようになるだろう。しかし、それにはまだ一定の時間が必要だ」と述べた。

 
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