火力発電の時代は、電力は定量的かつ均一的、安定的に制御を受けながら供給されていた。一方、現在の風力発電や太陽光発電は天候に左右される。不規則な変動は電力網の安全を脅かすと同時に、発電した電力が活用できなかったり、余剰電力を貯蔵できなければ電力が無駄になることもある。新エネルギーを順調に系統接続させ、電力を無駄にしないためには、エネルギー貯蔵がカギを握る。人民網が伝えた。
内モンゴル自治区通遼市の「火力・風力・太陽光・貯蔵・製造・研究」一体化モデルプロジェクトでは、第1期工事が3年前に同市開魯県で着工し、700日間で風力発電機223基の設置が完了した。
風力と太陽光は気象条件に大きく左右される。風がなければ電力は生まれない。太陽光も同じで、曇りの日や夜間は日差しがなくて発電できない。晴れていても日差しが強すぎると、発電した電力をすべて使いきれない可能性がある。こうした不安定性は電力網の調整を困難なものにし、発電された電力が無駄になりやすい。
新型エネルギー貯蔵が役割を十分発揮すれば、これらの問題を解決できる。電気エネルギーを他のエネルギーに変換して貯蔵すれば、無駄を減らし、電力網の圧力も軽減できる。
通遼市では第2弾となるエネルギー貯蔵ステーションの設置が完了した。40のバッテリーコンパートメントと20のパワーコンディショナーにより5万5000キロワット(kW)のエネルギー貯蔵容量を提供する。
雅礱江の水力発電所に「揚水発電所」という肩書が加わった。これらの発電所はスーパーエネルギー貯蔵施設にもなる。
揚水発電所は上部と下部に2つの貯水池を持つ。これらの貯水池の高低差を利用して、電力消費量が少ない時間帯に余剰電力を使って下部の水を汲み上げておく。つまり、電気エネルギーを水の位置エネルギーに変えて、それを貯蔵し、電力消費量のピーク時に水を流して発電する。
雅礱江中部には2カ所の水力発電所がある。川上の方は両河口水力発電所で、川下の方は牙根一級水力発電所だ。この2カ所の貯水池を利用すれば、揚水発電所に変えることができる。
混合エネルギー貯蔵プロジェクトと牙根一級水力発電所が5年後に完成すると、両河口水力発電所と一体化して、世界最大規模の混合型揚水発電所となる。年間発電量は人口1000万人都市の年間電力需要を満たすことができる。
塩の採掘によって残された穴を処理するために、以前は放水や空気注入などによって埋め戻し、崩落を防ぐ必要があった。塩の採掘のみならず、各種鉱物の採掘でも似たような穴が残る。科学者は現在、これを圧縮空気エネルギー貯蔵という新たなエネルギー貯蔵手段に使おうと模索している。
これは巨大な「空気電池」のようなもので、その仕組みはシンプルだ。電力消費量が少ない時に、発電所は自転車のタイヤに空気を入れるように、余った電力で空気を圧縮する。圧縮された空気は大型施設で貯蔵される。圧縮空気エネルギー貯蔵の設置先の選定は揚水発電所よりも柔軟で、建設期間もより短い。かつての塩の穴を再利用することで、空気を圧縮する天然の貯蔵タンクになる。江蘇省常州市の空気圧縮「モバイルバッテリー」は毎日8時間充電し、5時間放電することで、30万キロワット時(kWh)の電力を提供できる。