中国でこのほど開かれた全国人民代表大会(全人代)の「政府活動報告」で、5Gユーザー普及率が50%を超えたことが言及され、多くの人の注目を集めた。国際的な携帯電話通信業界団体GSMアソシエーション(GSMA)のシンクタンクが2021年に、中国の5G普及率は25年に50%を超えると予測しており、2年前倒しで達成したことになる。人民日報が伝えた。
50%の達成は、モバイル通信技術の分野における中国の実力を示すとともに、中国のデジタル経済が勢いよく発展する様子を示している。
今年の春節(旧正月)特別輸送期間はその典型例だった。
3月5日に40日間に及ぶ特別輸送期間が終了した。この40日間に中国国内で地域を跨いで移動した人の数は延べ84億2000万人、このうち主要輸送手段である鉄道の累計旅客輸送量は延べ4億8400万人と過去最多を更新した。こうした「人類最大規模の人口移動」が実現したのは、鉄道部門がデータ処理能力の向上に努め、オンライン乗車券業務の機能をアップデートし続けたからだ。中国鉄路の公式アプリ「12306」はピーク時には乗車券を1秒間に1000枚ほど発行し、1日の最高ページビュー(PV)数は延べ875億6000万PVという驚異的な数字になった。大量データに直面しても、乗車券予約システムがシャットダウンしたりフリーズしたりすることはなかった。
中国のオンライン小売額と宅配便取扱個数は長年にわたり世界一で、これも高いデータ処理能力と切り離せない。
2月17日、「2024年全国オンライン年越し用品イベント」が終わり、全国のオンライン小売額は約1兆2000億元(1元=約21円)に達し、1日あたりの金額は前年同期比9%近く増加した。2月末の最新データを見ると、1月の中国の宅配便取扱個数は前年同期比84.8%増の147億件に達し、業務量と純増はいずれも過去最高を更新した。イベント期間には、1日平均で約400億元に上ったオンライン小売注文も、4億7000万個を超えた宅配便取扱個数も、力強いデジタル技術のサポートを受けて実現した。
「デジタル中国」の加速度的な推進のよりどころとなったのは、強化され、信頼性が高まったモバイル通信ネットワークだ。
5G関連の技術、応用、インフラなどで、中国には先行優位性があり、十分期待のできる将来性も備えている。
新しい技術も絶えず成長している。2月26日、華為(ファーウェイ)は世界初の5.5Gスマートコアネットワークソリューションを発表し、年内の商用化を計画していることを発表した。5.5Gは5Gに比べ、アクセス速度、遅延、測位、信頼性などで約10倍もの性能向上が可能だ。ここ数年で、中国メーカーはRF(無線周波数)トランシーバーIC(集積回路)などの重要コア技術で独自開発によるブレークスルーを果たし、5G標準必須特許の宣言数は世界トップになった。現在、工業・情報化部(省)と関連企業は次世代インターネットの先端分野に焦点を合わせ、6G技術の開発を前倒しして計画し、全面的に推進しており、これまでに7件の重要技術のテストを完了している。