中国民用航空局はこのほど、世界のeVTOL(電動垂直離着陸機)業界で初めてとなる製造許可証(PC)を発行した。今後、「低空経済」(低空域での飛行活動による経済形態)の発展が、私たちの生活に大きな変化をもたらすことが予想される。中国新聞網が伝えた。
将来は地下鉄やバス、自家用車に加えて「空飛ぶタクシー」も一般市民の通勤手段になるのだろうか。
今回PCを取得したのは億航智能が開発した、人を乗せて運航する自動運転航空機で、すでに中国国内のECプラットフォームで販売されているという。最高設計速度は時速130キロ、最大航続距離は30キロ、最長飛行時間は25分、標準価格は239万元(1元=約21円)だ。
現在、eVTOLは中国や米国、日本、欧州などが競って投資する注目のテクノロジー製品になりつつある。この商用化がスタートすれば、空の通勤ルートの実現にまた一歩近づいたことになり、将来は「空飛ぶタクシー」での出勤が現実になるかもしれない。
低空経済の急速な発展は、国民経済にどのような積極的な影響を与えるのだろうか。
工業・情報化部(省)傘下の賽迪顧問が発表した「中国低空経済発展研究報告(2024)」によると、2023年に中国の低空経済の規模は5059億5000万元に達し、伸び率は33.8%となった。一方、23年の中国のeVTOL産業の規模は約10億元で、民生用ドローン産業の規模も1200億元に迫っている。
同報告によると、低空飛行活動の活発化に伴い、低空インフラ投資の牽引効果も現れ始めており、今後数年間、中国の低空経済は急成長の傾向を示すとみられている。26年には、中国の低空経済の規模は1兆元を超え、1兆644億6000万元に達する見込みとなっている。
中国民用航空局の宋志勇局長はこのほど発表した文章で「低空経済は世界が競争を展開する戦略的新興産業であり、新たな質の生産力を育成し発展させる上での重要な方向性だ。低空飛行サービス保証体系は低空経済が発展するための基礎であり、保証体系の構築を迅速に推進し、低空経済の発展を強力に支えるよう努力しなければならない」と指摘した。