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科学技術の力で動く中国の人工心臓

2024年05月21日

 中国の李晶さん(45)は、心不全を発症し、話すだけで息切れする状態となったが、中国製人工心臓「火箭心(ロケットハート)」により、正常に働けるようになった。経済参考報が伝えた。

 泰達国際心血管病医院は2009年より、中国キャリアロケット技術研究院と協力し、宇宙技術と医学技術を結びつける研究開発を強化した。その後、同研究院傘下の北京精密電気機械制御設備研究所や、天津経済技術開発区国有資産経営公司、長征火箭工業有限公司が共同出資し、航天泰心科技有限公司を設立。心室補助装置「ロケットハート」の研究開発に専念してきた。

「ロケットハート」は流体設計が複雑で、開発期間が長く、コストが高いため、数値シミュレーション技術により臨床上の需要を満たす技術プランを選ぶことが特に重要となる。

 国家スパコン天津センターによって心血管結合システムの血流力学モデルを構築し「天河データシミュレーションクラウドプラットフォーム」を利用して心室補助装置のデジタル化設計とマルチ作動条件の実験・検証を行い、血液ポンプの性能を高めた。同プラットフォームはさらに新製品の研究開発・世代交代及び生産を加速させ、新製品の開発期間を30%短縮した。

「ロケットハート」(埋め込み型左心室補助システムHeartCon)は2018年に国家薬品監督管理局から承認され、革新医療機器特別審査承認手続きに入った。50件の臨床試験に合格し、純国産人工心臓として、22年7月に販売承認を得た。

 李さんは19年3月に中国国内初の「ロケットハート」の移植患者となった。「長年病気に苦しんだが、ついに思う存分呼吸できるようになった」と興奮気味に語った。

 李さんが移植した「ロケットハート」の材質はチタン合金で、心臓に「ポンプ」をつけるようなもので、衰弱した心臓の血液送り出しをサポートし、脳や腎臓、肝臓などの重要器官への血液供給を保証することで、患者自身の心臓を「休ませる」ことができる。

 天津泰達国際心血管病医院の劉暁程院長は、「磁性流体浮上の設計には機械の摩損がなく、理論的には数十年使用できる。大量の手術の成功と術後の血液ポンプの正常な作動は、中国の心室補助装置の研究開発技術と性能がすでに世界と同水準に達したことを証明している」と述べた。

「ロケットハート」は24年4月まで150人以上の患者を救った。還暦を過ぎた高齢者から10代の子供まで、科学技術の力を借りて新しい人生を手に入れた。

 
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中国科学技術ニュース 2024年05月

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