日照または気温の変化に合わせて、窓の色と透光率を調節することで、エアコンの電気代を節約することは可能だろうか。
中国科学院上海珪酸塩研究所の曹遜研究員のチームは、このアイデアに対し、肯定的な答えを出した。チームは華中科技大学の楊栄貴教授らと共同で、全波長帯域(可視光、近赤外、中遠赤外)における光熱交換最適化の視点から、新型エレクトロクロミック構造を開発した。これを窓の熱管理に用いると、可視光・近赤外光の太陽放射や中赤外光の放射冷却を最大限利用することができる。新民晩報が伝えた。
省エネガラスは環境の温度や太陽放射の動的な変化に基づき、自身のエネルギー交換能力の動的反応を実現する必要がある。材料は広い波長帯域内で複数種類の光学状態を切り替えなければならない。研究チームが上海市と海南省三亜市で行った屋外実験によると、この新型エレクトロクロミック構造の窓は、従来の商用Low-E窓と比べ、典型的な晴れの日に、一日中連続で冷却可能で、最大で温度を14℃下げることができる。
研究チームが打ち出した新型エレクトロクロミック部品は、二酸化バナジウムと酸化タングステンの薄膜の相転移により3つの形態変化を行う。この構造で外から異なる電圧をかけることで、リチウムの陽イオンがそれぞれ単斜晶系の二酸化バナジウムと酸化タングステンの層に拡散し、2回の相転移を行う。同エレクトロクロミック構造の3種の光学状態は4時間以上維持できる。
研究チームはさらに、異なる温度・気候の中で、省エネ窓の内側と外側の放射率の要求が異なる場合が多いことを発見した。建築物の年間の熱管理において、夏季の屋外環境と窓表面の温度は室内を上回る。冷房のエネルギー消費を抑えるためには、熱の進入を減らすとともに、屋外から窓を通して室内に入る放射熱を減らす必要がある。冬は熱の損失を防ぐため室内から窓への放射熱を減らし、同じく窓の内側に低放射率を設定する必要がある。研究チームはさらにエレクトロクロミック構造の外側と内側の電極の放射率を最適化することで、屋外と室内の放射熱の交換を最小化した。
関連成果は14日、国際的学術誌「ネイチャー・サステナビリティ」にオンライン掲載された。