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【24-43】福建省の企業、「多彩な技を持つハイテクガラス」を開発

鄧倩倩(新華社記者) 2024年05月15日

 光を調節し、室内を暖め、結露を防ぎ、動画を見ることもできる。そんな画期的技術を備えたガラスが、従来の概念をひっくり返しつつある。

 この「多彩な技を持つガラス」は、中国福建省福州市にある福耀玻璃工業集団(FUYAO)の製品だ。持続的な開発投資と技術イノベーションにより、かつては地方の小さな無名工場だったFUYAOは、今や自動車用ガラスと自動車用アクセサリーの一体化ソリューション分野で、世界トップレベルのサプライヤーに成長した。

「ガラス+」でさまざまな機能の応用シーンを開拓

 FUYAOのガラスはスマートディスプレイとして、車のフロントガラスに投影することでナビゲーションなどの情報を表示させることができる。フィルムをコーティングすれば、熱を効果的に反射して、車内の温度が上がりすぎるのを防ぎ、計器板の劣化を遅らせることができる。チップを搭載すれば、スマートコネクテッドカーの身分証である「デジタル電子ナンバープレート」に変身できる。

 こうした「ガラス+」機能の実現は、FUYAOの持続的なイノベーションの取り組みの成果だ。FUYAOの開発チームは4000人以上のメンバーを有し、毎年、売上高の4%以上をイノベーション・開発に投入している。2023年末現在、FUYAOの国際特許出願件数は3377件に達している。

 同集団の葉舒総裁は「コア技術の確立に近道はなく、独自イノベーションに基づかなければならない。現在、われわれはコア技術の100%独自化を達成している」と説明した。

 FUYAOはここ数年、スマートコネクテッド新エネルギー車などの新興産業に進出し、情報インタラクションやビュー・ウインドウなどの機能を一体化した自動車用ガラスソリューションの提供に力を入れ、ガラスを「よりスマートに」している。

 新型車載5Gアンテナガラスは、FUYAOの産業イノベーションの重要成果の1つだ。スマートカーに高いレベルの自動運転能力を持たせようとすれば、アンテナを少なくとも20本以上設置して、5G通信の要求に応えなければならない。これほど多くのアンテナをどうやって取り付けるのか。このことは、これまでずっと業界が抱える難問だった。

 福耀玻璃工程研究院の関係者は「われわれは課題解決チームを立ち上げ、アンテナをガラス内部に埋め込んで、アンテナとガラスの一体化設計を行った。現在、FUYAOの5Gアンテナガラスの性能は最高800メガビット毎秒(Mbps)のネット通信速度を達成した。自動車用ガラスは表示の切り替えやデータ伝送などの機能の重要な担い手として、その定義が更新され続けているところだ」と語った。

スマート製造の効率を高める「インダストリー4.0」

 FUYAOが新たに建設したグリーンスマート工場では、製造ラインでロボットアームが規則正しく動き回っていた。カットや研磨、圧延、フィルムコーティングなどの精密加工を経てガラスが製品となり、物流ルートに送られてパッケージされるまで、生産ライン全体が高度な自動化を実現している。

 FUYAOの自動車用ガラス生産管理責任者の呉礼徳氏は「これこそ、われわれが最近打ち出したインダストリー4.0だ。生産ラインの作業員の数は2割近く減少したが、生産効率は200%アップした。現在、当社には産業用ロボットが2229台ある」と述べた。

 このグリーンスマート工場は、生産の自動化だけでなく、人工知能(AI)ビジュアル検査システムも配置している。例えば、大型ルーフ生産ラインでは、7つの重要工程に自動検査システム9セットとモニタリング・位置測位システム2セットが配置され、AIがディープラーニングによってヒビや気泡といった欠陥の特徴を学習し、外観や透明度、商標などの品質検査を人に代わって行うことができるという。

 インダストリアル・インターネットは時代の大きな流れだ。FUYAOは積極的に展開し、世界にある工場をカバーするように「神経システム」を網羅し、産業チェーンの川上から川下までつなげようとしている。

 世界に50カ所あるFUYAOの工場では、デジタル制御工作機械の50%以上がインターネットセンサーなどの技術を利用して情報処理センターに接続しており、生産過程全体で最適化管理が行われるようになっている。試算によると、FUYAOの生産効率は30.5%上昇し、製品の不良率は30%以上低下し、エネルギーの利用効率は12%上昇した。

 工場のネットワーク化により、FUYAOは「多品種・小ロット」という柔軟性の高い生産方式を実現している。

 呉氏は「当社では1つの生産ラインで数十種類のさまざまな自動車用ガラスを生産しており、一般的な複雑さのガラス製品なら、種類の切り替えにかかる時間はわずか1時間で、1つの作業場で年間1万種類に上るさまざまな自動車用ガラスが生産できる。従来の工場ではこれほどの柔軟さは難しい」と語った。

 葉総裁は「既存の製造分野から始まった企業にとって、新たな質の生産力の開発は、技術主導とイノベーションによる駆動を堅持することだ。企業のデジタル化、ネットワーク化、スマート化、グリーントランスフォーメーションを絶えず推進することではじめて、製品が競争力を持つようになる」と述べた。


※本稿は、人民網からの提供記事です。

 

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