2024年05月27日-05月31日
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「スーパー充電都市」深圳、1秒間に1キロ分の充電が可能に

2024年05月28日

 中国広東省深圳市では、新エネルギー車充電スタンドの多くが「コーヒーを飲んでいる間に、フル充電できる」とのキャッチコピーに掲げている。これは「スーパー充電都市」の構築を目標とする同市のスローガンであり、充電インフラに照準を合わせた「次世代世界一流自動車都市」建設に向けた大きな一歩でもある。人民日報が伝えた。

 市内でアプリ「i深圳」を開き、一番近いスーパー充電スタンドに向かい、充電ポールのQRコードをスキャンし、充電コネクタを自動車に接続すると、車内のコックピットに表示される走行可能距離がほぼ1秒間に1キロずつ増えていく。深圳市バス新エネルギー有限公司深康充電スタンドの責任者である黄睿さんは「自家用電気自動車の場合、普通の充電ポールならフル充電に7~8時間かかり、急速充電ポールでも1~2時間かかるが、スーパー充電ポールなら10分ほどで80%以上充電できる」と説明した。

 同社運営部の葉錫東経理は「水冷式充電ターミナルを採用したことで、5分間の充電で250キロ走行できるようになった。深康充電スタンドは現時点で深圳市最大規模を誇り、施設が最も整備され、機能が最も豊富なモデル充電スタンドだ。1日当たり新エネ車1300台の充電が可能で、年間では延べ40万台に上り、充電量は1200万ワットを超える」と紹介した。

 葉氏によると、この充電スタンドは太陽光発電所とエネルギー貯蔵設備、電気自動車充放電スタンドが一体化しており、実際の天気や電気料金、新エネ車のバッテリーの状態などに基づいて、スタンド内の太陽光発電とエネルギー貯蔵、自動車の充放電を統一管理することが可能で、局域マイクログリッドと仮想発電所を形成している。

 深圳市は2023年6月に、初のオール水冷型スーパー充電モデルスタンドを設置し「スーパー充電都市」の建設を宣言。空港や高速鉄道ターミナル、公園、大型商業施設、高速道路のサービスエリアなどを重点ポイントとして、需要と供給がマッチし、最先端技術を採用したスーパー充電ネットワークを構築することを目指している。今年4月30日現在、市内のスーパー充電スタンドは延べ362カ所となり、スーパー充電スタンドとEV充電コネクタの数がガソリンスタンドと給油ノズルの数を上回った。

 市内の新エネ車産業は現在、リーディングカンパニーが主導し、産業チェーンが高度に結びつき、川上と川下が高度に連携する発展構造が構築されている。今年4月末時点で、市内の新エネ車は100万台を超え、新車販売における電動自動車の比率が約6割となっている。充電設備製造の分野では、英飛源や永聯など企業11社の中国市場におけるシェア率が合わせて50%を超えている。

 スーパー充電の普及に伴い、充電効率が大幅に高まり、充電量も急増している。南方電網深圳供電局の統計によると、今年1~4月、深圳市の新エネ車充電量は前年同期比4.6%増の延べ9億2000ワットだった。

 新エネ車の増加に伴い、自動車と送電網の融合・相互作用がより現実的な意義を持つようになっている点も注目に値する。

 深圳供電局は5月15日、送電網のピークカットのニーズに合わせて、市内の新エネ車1473台がさまざまな場所で「秩序に基づく充電」「逆方向充電」を実施するよう企画。充電ポール1万5000本を通して、電力使用量が最も多い時間帯に削減された電力使用量は4389ワットに達した。電気自動車から送電網に給電する「逆方向放電」により、全ての新エネ車は「電気を売る」ことができるようになる。電気代の安い夜間に電気自動車をフル充電し、電気代の高い日中に送電網に給電することで、差額を利益にすることが可能だ。

 深圳供電局によると、市内の新エネ車が全て「逆方向放電機能」を備えた場合、車両に搭載されている電池のエネルギー貯蔵潜在能力は5000万ワットに達し、可制御負荷が最大300万キロワット以上に達すると予測している。これは中型の化石燃料を使う発電装置5基分に相当する規模となる。

 
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