中国科学院青蔵高原(チベット高原)研究所によると、同研究所の環境変化・多層位プロセスチームの張国慶研究員らの研究により、青蔵高原の湖沼面積が過去30年間で1万平方キロ以上拡大したことが分かった。中央テレビニュースが伝えた。
研究チームは、降水量の増加と氷河の融解で水が補給されたことにより、青蔵高原の湖沼面積が低排出の状況下で、21世紀末までに約50%(約2万平方キロ)拡大し、水位が約10メートル上昇し、水量が50年前の4倍に当たる約6520億トンに増加すると見積もっている。
研究成果は27日、「ネイチャー・ジオサイエンス」にオンライン掲載され、青蔵高原の今後の計画に科学的指導を提供している。
研究員によると、青蔵高原には地球で標高が最も高く、数が最も多い高原湖沼群が分布しており、その面積は中国国内の湖沼の50%以上を占めている。過去50年間の温暖化と人類活動の複合的な影響により、世界中の大きな湖で水量が減少している一方で、青蔵高原の湖沼は温暖化を背景に急速に増加しており、湖の氾濫リスクを高めている。
湖沼の拡大はさらに、大気中の温室効果ガスの濃度を高める可能性があり、世界的な温暖化を激化させる恐れがある。将来的に湖沼の水量増加により湖の塩分量が減り、湖沼生態系の種の豊富さと栄養構造が変化することになる。また湖沼流域の再構築により新たに形成される河川も高原動物の移動を妨げる可能性がある。そのため、より効果的かつ持続可能な管理措置を講じ、社会の発展と生態系への影響を軽減する必要がある。