1870年に発表されたフランスのSF小説「海底二万里」では、早くもナトリウムイオン電池の構想が打ち出されていた。登場する潜水艦ノーチラス号はナトリウムと水銀で作った二次電池によって動力を提供していた。このように、ナトリウムは海から尽きることなく抽出できるものだ。ナトリウムイオン電池の可能性について、華陽集団傘下の華鈉芯能に聞いた。人民網が伝えた。
同社解説スタッフの申怡然氏は「SFがテクノロジーへと変化しており、われわれはナトリウムイオン電池製品の大規模生産・応用をいち早く実現した」と述べた。
華鈉芯能の靳生竜董事長は「ナトリウムイオン電池は、主にナトリウムイオンの正極と負極の間を移動する一種のロッキングチェア型電池(充電式電池)だ。無定形炭素中のハードカーボンは、最もポテンシャルを持つナトリウムイオン電池の負極材料とされている。そして華陽集団には無煙炭が豊富にある」と紹介した。
華陽集団は2019年からナトリウムイオン電池に目を向け、中国科学院と共同でナトリウムイオン電池の関連産業を展開。1メガワット時(MWh)ナトリウムイオン電池エネルギー貯蔵システムの稼働や、1000トン級ナトリウムイオン電池正極・負極材料プロジェクトの生産、ナトリウムイオン電池の正極・負極材料の量産を実現し、同集団は材料からセル、パック、インテグレーションなど、ナトリウムイオン電池の全産業チェーンを集約、応用する中国初の企業となった。
靳氏は「ナトリウムイオン電池には高い安全性、広い温度帯、長い寿命という特徴がある。リチウム元素と比べ、ナトリウム元素は中国で埋蔵量が豊富で、広く分布しており、エネルギー安全を効果的に保障できる」と語った。