2024年06月17日-06月21日
トップ  > 科学技術ニュース >  2024年06月17日-06月21日 >  AIによる「美味しいスイカ選び」は可能なのか?

AIによる「美味しいスイカ選び」は可能なのか?

2024年06月17日

 中国のあるネットユーザーが、AI(人工知能)ツールを使ってスイカが熟しているかどうかを判断する動画を投稿して話題になった。果たしてAIはどのスイカが美味しいかが分かるのだろうか。武漢晩報が伝えた。

 同紙の記者が中国のAI大規模モデル3種類を使い、スーパーでスイカを選んだところ、明確な答えを示したのは1種類だけだった。AIが選んだスイカが美味しいかどうかについては、食べた人によって意見が割れたが、研究開発者によるとAIツールは確かにスイカ選びをサポートできるという。

 5月24日、同紙の記者は阿里巴巴(アリババ)が運営する生鮮スーパー「盒馬鮮生」の実店舗で複数のスイカを購入した。まずスイカの写真を撮って番号を付け、そのスイカの画像を3種類のAI大規模モデルにアップロードして「甘いスイカを一つ選んでほしい」とリクエストした。

 その結果、「8番が美味しい」という明確な答えを出したAIツールは「通義」だけだった。しかもその理由は「熟度が高そうで、形が整っており、表皮の色が鮮やか」だとしている。他の2種類のツールはいずれも「どのスイカが最も甘いか判断もしくは決定することができない」としたが、スイカの選び方についてのアドバイスはしてくれた。一方、記者もスイカの皮を観察し、模様がはっきりしている「6番」を選んだ。

 スイカを切ると、記者が選んだ「6番」は果肉が色鮮やかで、皮が薄く種が多かった。AIが選んだ「8番」もなかなか美味しかったが、白い種が比較的多かった。記者が4人の同僚に感想を求めると、うち2人は「6番」のほうが美味しいと述べた。1人はAIが選んだ「8番」のほうが好みだと述べ、残る一人は「違いはなかった」と答えた。

 AIによるスイカ選びは果たして信頼できるのか。湖北省武漢市にあるAI研究開発機関のエンジニアである姚氏は、「大規模モデルの画像処理能力はスイカの色、模様、斑点、傷跡などの外観情報をキャッチできる。そしてインターネット上には外観と味の関係を記述するコーパスがある。大規模モデルは外観と既存の知識により、最も美味しいスイカを推測できる」と述べた。

 その上で姚氏は「大規模モデルでは手触りの情報が得られず、その答えは必ずしも正確ではない」と付け加えた。一部のツールが明確な答えを示せなかったことについては「あるモデルでは画像モデルと文字モデルが独立しており、トレーニング中に画像やテキストなどの異なるモーダルのデータを融合するためにその結果が異なることがある。大規模モデルは事前に大量のトレーニングを行うことで、画像情報と意味の関係をより良く構築できるようになる」と述べた。

 
※掲載された記事、写真の無断転載を禁じます
 

上へ戻る