2024年06月17日-06月21日
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大学の実験室で肉を「培養」

2024年06月18日

 南京農業大学肉品質制御・新資源創成全国重点実験室では、3Dバイオプリンティング技術を使った細胞培養肉の研究が行われている。新華網が伝えた。

 規則正しい「印刷音」の中、赤と白の「バイオインク」が入ったプリントヘッドが前後に動き、白いトレーの中の四角い「豚肉」が徐々に厚くなり、美味しそうな色に変わった......。

 同大学特任教授で実験室室長を務める周光宏氏は「3Dバイオプリンティング細胞培養肉技術はすでに成熟している。肉の形や赤身と白身の割合をカスタマイズすることも可能だ」と述べた。

 周氏によると、「細胞培養肉」は動物の体内における肉類の成長の法則に基づき、体外培養とバイオマニュファクチャリングの方法を利用して動物の細胞を培養し、生産する食用肉だ。つまり飼育や屠殺をすることなく肉を食べることができ、食感や風味をコントロールすることが可能で、さらにタンパク質や脂肪の量を人工的に調節し、飽和脂肪酸を減らすこともできる。

 2009年、周氏のチームは「幹細胞肉」を目標とする研究活動を開始した。チームは19年に5グラムの「豚肉」を培養し、中国初の「細胞培養肉」が誕生した。23年には細胞培養豚脂肪500リットルバイオリアクターのパイロット量産を実現し、最終的に5キロの「細胞培養肉」が誕生し、産業化の道がほぼ開かれた。

 周子未来研究開発センター職員の况毅氏は「豚や牛の飼育には数カ月から数年かかるが、細胞培養肉を工場で生産するようになると、生産期間は数週間しかかからない」と述べた。

 ドイツの調査会社スタティスタ(Statista)のデータによると、40年には世界の肉製品市場の40%が通常動物肉、35%が細胞培養肉、25%が植物タンパク肉になると予測されている。

 周氏は「細胞培養肉が量産段階に入れば、エネルギー消費量を大幅に削減でき、大まかな計算によると、温室効果ガス排出量を78~96%、土地使用を80~99%、水使用量を82~96%減らすことができる」と述べた。

南京農業大学
 
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