迷路のような地下駐車場で、駐車スペースがどこなのかを忘れてしまう。やっとのことで車を見つけても出口が見つからず、携帯電話で調べようとしても電波が圏外になっている......。このような経験はないだろうか。中国河北省の雄安新区は、計画当初より「地下都市」の建設を打ち出しており、これには約380kmの共同溝と2200万平方メートル以上の地下駐車場が含まれる。人民雄安網が伝えた。
雄安新区にある容東エリア内の95カ所の団地では地下空間がほぼ相互接続しており、400万平方メートル以上の敷地に約5万カ所の駐車スペースがある。これほど大規模な地下空間では、多くの人や車、モノが行き交っており、道にも迷いやすい。利用者の具体的な位置情報や目的地をどのように通知し、地下の通行をよりスムーズで効率的にするかが、雄安新区の地下プロジェクトにおける課題となっていた。
建築物に遮蔽されるため、地上で利用できるソリューションは地下では使えない。では、北斗衛星の電波を地下空間に届けることはできるのだろうか。この案を検証するため、「5G+北斗地下空間組み合わせ式測位」の課題研究が2020年から始まった。
雄安新区の地下12メートルの駐車場で、測位テスト担当者がテストカーを操縦し、発進や加速、駐車、再発進、再加速、再駐車などを実施。北斗と屋内分布を組み合わせたソリューションが採用されることになった。
地下駐車場には入り組んだ配線や壁一面の通信機器がなく、多くの設備が10平方メートル未満の専用の機械室の中に「隠されて」いる。ここでは1本の回線が屋上とつながっており、北斗などの衛星測位信号を受信する。室内分布回線は複数の信号ブースターとつながり、地下駐車場でのシームレスな信号カバレッジを実現している。
大規模な実証推進に伴い、地下測位システムはすでに容東エリアの150万平方メートル以上の地下駐車場をカバーしている。測位精度は2メートルで、建設コストは従来の地下測位技術の半分ほどだ。
この技術は多くの紆余曲折を経てブレイクスルーを遂げた。アルゴリズムは2年のうちに236バージョンも更新された。平均して3日で1バージョンの計算になる。このソリューションは現在、アプリにも組み込まれ、より多くの人が利用できるようになっている。