2024年09月02日-09月06日
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「スキル」から「サービス」へ 未来産業で活躍する中国製人型ロボット

2024年09月02日

 中国北京市でこのほど開催された2024世界ロボット大会では、27種類のロボットが登場して「技」を競い合った。新華社が伝えた。

 今回の大会ではロボットの出展規模が過去最大となり、その積極的な動きで人気を集め、展示ブースはどこもほぼ満員の大盛況だった。

 人型ロボットには多くの開発投資が必要で、技術的難易度も高いが、外観や動きが人間により近づき、「親近感」や「テクノロジー感」が一層高まり、応用の可能性もさらに広がった。

 大会ではまず、北京エンボディドAIロボットイノベーションセンターが開発した「天工1.2MAX」が登場した。この身長173センチ、体重60キロのロボットは、21日に行われた開幕式で、会場にいた数百人の来賓・来場者が見守る中、両手で大会のバッジを持ち、自律的にステージの中央へ進み、来賓と共に大会の開幕を告げるボタンを押した。台を降りる時は手を振ってあいさつすることも忘れなかった。

 展示ホールでは、「天工1.2MAX」シリーズのロボットが走ったり、階段を上るパフォーマンスを披露した。走るスピードは時速6キロと成人のジョギング並みだ。

 今大会で披露された人型ロボットには、転んでも自分で起き上がれるロボット、ダンスやバク転ができるロボットなど、動きにそれぞれの強みがあった。中国電子学会の梁靚副秘書長は「人型ロボットは『人工智能(AI)+ロボット』の産物で、今回披露した動作が可能になった背景には、人型ロボットの認知と決定能力がより高まったこと、運動の制御がより正確になったこと、本体構造の運動精度とエネルギー効率が高まったことがあり、重要技術の発展・進歩が体現されている」と述べた。

 人型ロボット産業は発展途上にあり「バーチャルからリアルへ」の大きな変化を見せている。メーカーはこれまで、部分的な開発成果を示し、デモンストレーションの動画を流すような静的展示にとどまっていたが、今回はより多くのメーカーが会場に応用シーンを直接構築し、ロボットが「勤務に当たる」実際の様子を来場者に見せていた。

 人型ロボット研究センターの展示ブースでは、来場者がボタンを押してロボットに「ラテ1杯ください、Lサイズ、砂糖は不要」と話しかけると、ロボットがあっという間にラテを完成させ、来場者の前に持っていく様子が見られた。

 優必選(UBTECH Robotics)の展示ブースでは「WalkerS」シリーズの人型ロボットが会場でスマート運搬、仕分け、品質検査を披露した。同社の譚昊最高ブランディング責任者(CBO)は「ディープラーニングのコア技術に基づき、WalkerSの品質検査は360度の範囲、50センチ以下の低い場所での検査が可能になり、検査の精度は99%に達した。現在、当社のロボットは中国国内の複数の自動車メーカーの工場で実践的なトレーニングを受けている」と説明した。

 業界関係者の見方によると、工業の製造現場や危険化学品製造などで人型ロボットが優先的に使われるという。こうした「働くロボット」はこれから反復型の労働効率・精度を高め、生産における安全リスクを軽減する。将来的には、人型ロボットはサービス業や家庭での介護などのシーンで重要な役割を果たすようになり、人間の友達やパートナーにもなる可能性がある。

 人型ロボットの出展企業は「未来産業の1つとして、人型ロボットはコンピューター、スマートフォン、新エネルギー車に続いて破壊的製品になると期待される」との見方を示した。ゴールドマン・サックスの予測では、2035年の人型ロボットの市場規模は1540億ドル(1ドル=約145円)に達するという。

 現在、人型ロボットはハードウェアのハードルが高く、ソフトウェアのアルゴリズムの難度が高く、知識の蓄積が難しく、人材がなかなか集まらず、安全な応用が困難といった現実的な課題に直面しているが、この産業の発展に力を入れることは一般的な共通認識となっている。

 
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