水素エネルギーは資源が豊富で、グリーンかつ低炭素な二次エネルギーとして、発展の可能性が大きいとされている。中国国家発展・改革委員会などの部門はこのほど発表した「水素エネルギー産業発展中長期計画(2021−35年)」で、水素燃料電池の中・大型車両への応用を重点的に推進し、水素燃料電池などの新エネルギーバス・トラック市場の応用空間を開拓することを明確に打ち出した。人民日報が伝えた。
四川省初となる水素燃料電池散水車がこのほど、成都市で運転を開始した。栄創新能の談剣釗副社長は「今回使用開始した4台の車は、栄創新能の水素燃料電池動力シリーズ製品の道路交通分野における革新的な応用だ。15分の水素充填で400キロの走行が可能で、無公害、低騒音、快適な運転体験などのメリットがある」と述べた。
同省交通運輸庁の統計によると、水素燃料路線バスや物流トラックなど省内で推進・応用中の各種水素自動車は600台以上に上る。うち成都、攀枝花、徳陽、内江、資陽、涼山の6市(自治州)は、水素エネルギー路線バス路線を運行している。
専門家によると、水素自動車は水素を燃料とする自動車で、電気自動車(EV)と同じく新エネルギー車に属する。EVは乗用車や小型商用車で明らかな優位性を持つが、水素自動車は水素充填がスピーディで、低温による損耗が少なく動力が大きいといった特徴があり、路線バスや長距離大型トラックなどの大型商用車分野で発展の見通しがある。
中国では水素ステーションの建設も進んでおり、2023年末現在で完成した水素ステーションの数は450カ所を超え、世界トップとなっている。しかし、この規模は実際の需要に比べると、まだ足りないとされる。
中国科学院の欧陽明高院士(アカデミー会員)は「EV誕生から質の高い発展までの歩みを参照すると、中国の燃料電池車産業の発展は約10年遅れており、応用コストが急速に低下する成長期に入っている」と指摘した。また、中国自動車工程学会の予測によると、水素燃料電池車の保有台数は35年に約100万台に達するという。