2024年11月25日-11月29日
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地下700mの江門ニュートリノ実験検出器メイン装置が完成

2024年11月27日

 地下700メートルに設置した江門ニュートリノ実験検出器メイン装置が20日、完成した。科技日報が伝えた。

 ニュートリノは物質世界を構成する素粒子の一つだ。宇宙で最も古くからあり、その数が最も多い物質粒子であり、また質量が極めて軽く、運動速度が光速に近く、ほぼすべての物質と反応しない極めて神秘的な素粒子だ。1956年に発見されてから、人類はニュートリノの模索と研究を続けている。

 ニュートリノの神秘に迫るため、江門ニュートリノ実験の建設が2015年に始まった。同実験はニュートリノ質量順序の測定を最重要科学目標とし、各種の重要な先端学際研究を実施する。ニュートリノは透過力が極めて高いが、地下700メートルで建設される江門ニュートリノ実験検出器は、宇宙線や外界のその他の干渉から効果的に遮蔽され、ニュートリノ捕捉の妨げにならない。

 江門ニュートリノ実験の中核検出器は、有効質量2万トンの液体シンチレーション検出器となっている。中国科学院高エネルギー物理研究所副所長で、江門ニュートリノ実験プロジェクト常務副経理の曹俊氏は「直径41.1メートルのステンレス製格子シェルは検出器を支えるメイン構造だ。直径35.4メートルの有機ガラス球、2万トンの液体シンチレータ、2万本の20インチ光電子増倍管、2万5000本の3インチ光電子増倍管など、多くの検出器部品を含む」と説明した。

 ステンレス製格子シェルの有機ガラス球は、厚さ12センチメートルの263枚の球面パネルと上下の煙突をつなげて作られる。有機ガラス球の自重は約600トンで、単体としては世界最大の有機ガラス球となる。

 江門ニュートリノ実験検出器メイン装置は完成後、超純水と液体シンチレータを注入する段階に進む。2025年8月に稼働してデータを取得する予定で、約30年の稼働が見込まれている。

 
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