中国海南省文昌市の海南商業航天発射場で11月30日、初の打ち上げが行われた。これにより、中国初の商業ロケット発射場がハード、ソフト、人員の面において、定期的な打ち上げ能力を備えることとなった。新華網が伝えた。
商業宇宙産業は、戦略的新興産業として急速に発展している。中国では近年、複数の商業ロケット企業や衛星企業が登場しており、商業宇宙発射場の運用により、商業宇宙産業の発展に必要なチェーンがより整備された。中国科学院院士(アカデミー会員)で、中国航天科技集団のロケット専門家である范瑞祥氏は「商業宇宙産業のクローズドループチェーンの形成は、中国の商業宇宙産業の質の高い発展を後押しし、技術革新を促進し、新たな質の生産力を育成する」と指摘した。
海南商業航天発射場では、液体ロケット用の1号発射施設と2号発射施設が完成しており、年間32回の打ち上げ能力を持つ。海南国際商業航天発射有限公司は、国内の商業ロケット企業や衛星企業と幅広く連携を進め、将来の打ち上げ協力について協議している。
打ち上げの常態化により、頻繁な衛星打ち上げが可能となり、将来的には衛星インターネットにより、人々の仕事や生活が改善されるだろう。海南国際商業航天発射有限公司発射事業部の首俊明部長によると、一般の消費者は、位置的・地域的条件による制約を受けることなく、携帯電話で衛星インターネットに接続することができるようになる。また、商業通信、気象、測量、ナビゲーションなどの分野においても、さらなる応用が広がるという。
商業宇宙産業の打ち上げの常態化は、川下産業において新たな業態や応用シーンを生み出すだけでなく、商業ロケットや衛星の製造、ロケットに搭載される電子製品、燃料推進剤など、川上産業チェーンの発展にもつながると見られている。
海南商業航天発射場の近くでは、複数の商業ロケット企業や衛星企業が視察に訪れ、工場を建設している。最近では、星際栄耀(Beijing Interstellar Glory Space Technology)が文昌市で工場建設を開始。キャリアロケットの組立・試験・再利用能力の構築を目指している。
商業ロケットの高頻度の打ち上げは、発射場所在地の発展にも恩恵をもたらすだろう。文昌市は近年、ロケットの打ち上げを活用して、宇宙、グルメ、観光を融合させた新たな旅行体験を積極的に打ち出している。
11月30日、海南商業航天発射場周辺には中国各地のナンバーの車が多数駐車していた。打ち上げの瞬間を目撃しようと観光客が集まったのだ。近隣の店は早くから開店し、地元の村民も露店を出すなど、現場は活気にあふれていた。
海南国際商業航天発射有限公司の劉紅建総経理は「高頻度の打ち上げにより『宇宙+』産業にさらに多くの可能性がもたらされ、将来的には地元住民の起業や雇用の機会もさらに広がるだろう」と見通しを語った。
(画像提供:人民網)
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