2024年12月16日-12月20日
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牛糞を燃料に 炭素排出削減の新たな道を探る内モンゴル自治区

2024年12月16日

 中国内モンゴル自治区シリンゴル盟にある昊鑫バイオマス環境保護ペレット有限公司では、粉砕し乾燥させた牛糞を大型ショベルカーが給餌機に投入していた。これらの牛糞は高温加熱、圧縮、冷却、切断などの工程を経て、5センチ角のバイオマス燃料ペレットとなる。中国新聞網が伝えた。

「われわれは先日、発電所との間で実験用として2000トンの契約を結んだ。発電所はさらなる協力の意向を示しており、今後、私たちは発電所に長期的に供給できるようになる」。同社社長の崔貴軍氏によると、同社の年間生産能力は20万トンに達している。崔氏が言う「実験」とは、現地の発電所が他地域の大学と共同で行う「牛糞混焼」実験であり、これは中国初の「牛糞混焼」実験でもある。

 2024年6月、国家発展・改革委員会と国家エネルギー局は「火力発電の低炭素化改造建設活動計画(2024~27年)」を発表した。それによると、各地でバイオマス混焼、グリーンアンモニア混焼、二酸化炭素回収利用・貯留などの方法による火力発電の低炭素化改造建設プロジェクトを展開する必要があるという。関連プロジェクト第1弾では、電力単位当たりの二酸化炭素排出量が2023年の同種火力発電所の平均二酸化炭素排出量を20%程度下回ることとなり、既存の火力発電所を大きく下回る。

 シリンゴル盟エネルギー局の徐敏副局長によると、同地には火力発電所が21カ所あり、総電力設備規模は1700万キロワットに上る。国能北電勝利エネルギー有限公司の勝利発電所は、現地初のバイオマス混焼実験を開始した火力発電所で、ここには山東省と江蘇省への2本の交流超高圧送電線があり、2024年の発電量は54億2000万キロワット時を見込んでいる。

 勝利発電所執行取締役の潘騰氏は「火力発電所は炭素排出量を削減するという重要な任務を担っている。私たちは現地の状況に応じて、牛糞をバイオマス混焼燃料に選んだ。7月から低炭素開発部を設置し、バイオマス混焼作業専門チームを設立した。西安交通大学などの大学の研究チームと連携し、実験室でさまざまな燃焼条件をシミュレーションし、混焼率と工程パラメーターを調整している」と説明した。

 勝利発電所総技術責任者の田亜釗氏は「私たちは計4回の試験を実施した。牛糞の粉砕、輸送特性、燃焼特性、ボイラーの性能など、さまざまな試験をしたが、最終的に牛糞には潜在的な燃焼価値と混焼特性があることを確認した」と説明。牛糞から作られるバイオマス燃料は約2000キロカロリーの発熱量を持ち、火力発電所の熱発電の要件を満たしているとし、「660メガワットの発電機で10%の混焼率を想定すると、年間約20万トンの牛糞を混焼でき、標準炭8万5000トンの節約になり、二酸化炭素排出量を22万7500トン削減し、炭素排出削減で2000万元の増収が見込まれる」と語った。

 西安交通大学の楊福鑫教授は「現在、牛糞混焼は単一の粉砕システムで混焼率15%を実現できる。燃焼全体もかなり安定しており、機器の運転にも問題がなく、汚染物の排出も基準を満たしている」と語った。

 
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