中国河北省雄安新区で14日、2024科学者イノベーション大会が開かれた。大会では複数の院士(アカデミー会員)や専門家が、リモートセンシング産業の発展について、計算能力の「宇宙進出」を推進することが産業の主要な方向性になるだろうと述べた。科技日報が伝えた。
中国科学院院士で中国工程院院士の李徳仁氏は大会の報告で、「近い将来、人々は携帯電話で衛星を利用し、衛星データで生活や生産のさまざまなニーズを満たすようになる」と見解を述べた。
李氏のチームはスマートリモートセンシング衛星コンステレーション「東方慧眼」の建設を推進中だ。同衛星コンステレーションは2030年までに252基の衛星を打ち上げ、複数の角度から地球のリモートセンシングを行うことで「素早く見る、はっきり見る、正確に見る、全体を見る、見て理解する、正しい場所に伝送する」という目標を実現する。李氏は「この目標を実現するためには、処理作業を宇宙で行い、人工知能(AI)技術で衛星リモートセンシングビッグデータを宇宙で小規模データに変え、ユーザーの携帯電話に直接伝送する必要がある」と説明した。
中国科学院院士の王建宇氏も「衛星の地球観測の分解能が向上するにつれて、データ量も増加し続けている。データをすべて地上に伝送してから処理するとなると、伝送量が大きくなるだけでなく、データ応用の適時性も影響を受ける」と同様の考えを表明。「宇宙でAI技術でデータを処理してから地球に伝送すれば、産業の発展に大いに役立つだろう」と述べた。
中国が独自開発した大規模AIモデル科学衛星が今年9月に打ち上げられ、軌道に投入された。研究開発チームは地上局のリモート指令によりAIタスクを衛星に伝送した。衛星はその後、搭載されている計算能力ペイロードにより大規模AIモデルを実行し、運用試験の実施に成功した。今回の試験には、複数の温度条件の作業環境や推理・質問応答など複数のタスクが含まれていた。衛星が軌道上で大規模AIモデルを実行するのは初めてで、衛星計算能力プラットフォームの宇宙適応性・信頼性や軌道上での効果的な計算能力についての検証に成功した。
研究開発チームはこれらを踏まえた上で、11月に「星算計画」を発表した。同計画は計算能力衛星2800基によってコンステレーションを構築するとともに、地上の100カ所以上の計算能力センターと相互接続し、将来的に宇宙・地上一体化計算能力ネットワークを構築する。