最近、自動車メーカーがロボットの製造にも乗り出している。広州汽車集団はこのほど、独自開発の第3世代スマート人型ロボット「GoMate」を発表した。計画によると、2025年に独自開発部品の大量生産を実現させ、広汽伝祺や広汽埃安などの完成車工場の製造ラインや産業パークで、デモンストレーション事業を優先的に展開するという。新華網が伝えた。
小鵬汽車や奇瑞汽車、小米汽車、上海汽車など複数の自動車メーカーも投資や開発などの形で人型ロボット分野に進出し、関連技術や製品、計画を発表している。
自動車メーカーが業界の枠を超えて人型ロボットに進出したことは、注目度が高かったこの分野にさらなる活気をもたらすとともに、自動車産業とロボット産業の未来に対する私たちの想像力をさらにかき立てている。
考えてみると、自動車とロボットには多くの共通点がある。業界は「車輪のついたロボット」という言葉でバージョンアップを続ける自動車を表現している。自動運転や車内のスマートインタラクションを始め、現在では人工知能(AI)やビジョンセンサー、大規模言語モデルなどの技術を搭載した自動車が、人類の移動に寄り添うスマートロボットにますます近づいている。
人型ロボットの開発においても、高性能バッテリーや軽量化素材のほか、目標物認識や経路計画などのアルゴリズムで使用するソフトウェアやハードウェアはいずれもスマートコネクテッドカーからヒントを得ている。自動車メーカーのロボット製造には技術移転の可能性があり、ロボットが自動車工場で「実際の訓練」に参加することにより、開発コストの低下や応用モデルの加速にもつながる。
中央経済政策会議は「人工知能+」行動を実施し、未来産業を育成するよう打ち出した。産業が融合する大きな流れの中、新たな発展チャンスをつかみ、新たな成長源を作り出すにはどうすればよいか。「+」の記号の裏には、新たな競争分野の発展論理がある。
現在、科学技術イノベーションが産業のイノベーションを牽引し、学科の枠を超え、複数の分野が融合するという特徴がますます顕著になっている。未来産業とは複数の技術や学科の枠を超えた学際的融合の発展の結果であり、当然のことながら複数分野による支援と多様なイノベーション主体の協力を必要とする。
イノベーションは出自を問わない。業界の枠を超えることは産業が大きく発展するための必然的な流れだ。
新エネルギー自動車について言えば、十数年前には、従来の自動車メーカーが作った自動車だけでなく、携帯電話メーカーやインターネットブランドが作った車を買うようになる日が来るなど想像もできなかった。今や、中国は新エネ車の年間生産台数が1000万台を超え、三電システム(バッテリー、モーター、制御装置)やスマートドライブ分野で優位性を持つようになった。これらの成果は自動車製造の「新勢力」による、枠を超えた進出や産業システム全体の協力と切り離せない。
ある機関によると、中国の人型ロボット産業の規模は26年に200億元(1元=約21円)に達するという。35年には3000億元に増加すると見られ、巨大な競争分野に無限の可能性が広がる。技術革新のチャンスをつかむには、ロボット産業そのものの高度化が必要であるだけでなく、産業の輪を拡大し、ソフトやエネルギー、自動車など複数の分野で成果を上げ、力を合わせて重要技術のブレークスルーを果たし、豊富な応用シーンを構築することも必要になる。
イノベーションには継続性が必要だ。新旧の原動力転換には「リレー競争」をうまく勝ち抜く必要がある。
人型ロボットを例にすると、産業の発展は新たな競争分野を切り開くだけでなく、電子や設備、新エネルギーなどの分野における優位性を強化し、持続させることにも寄与する。未来の産業を発展させるプロセスにおいて既存の優位性を持つ産業をより強くし、産業システムの競争力と発展の持続可能性を高める上でもプラスになる。
自動車産業が「人型ロボット」分野に参入し、量子産業が計算能力や通信に関わる企業の進出を呼び込み、合成生物学分野がバイオ医薬企業だけでなくは多くの繊維メーカーや素材メーカーが狙いを定める将来の方向性になった。未来の産業の育成発展過程で、より多くの企業が新たなやり方を打ち出し、多くの産業が新たな構造を切り開くことになるだろう。
未来へ通じる道がこれまでになかった方法で敷かれている。産業の壁を絶えず打ち破り、枠を超えた切磋琢磨を持続的に強化し、各分野のイノベーション主体がより深く融合していけば、「新しさ」に向かい「質」を求めるより多くの発展の原動力が形成され、産業のバージョンアップと経済成長の勢いが強くなるだろう。