上海交通大学医学院付属瑞金医院の王衛慶教授のチームは、同医院医療チップ研究所および上海近観科技の陳昌研究員のチームと協力し、糖尿病患者の非侵襲的血糖モニタリングを可能にする新技術を開発した。研究成果は5日、学術誌「Nature Metabolism」にオンライン掲載された。中央テレビニュースが伝えた。
糖尿病患者の血糖値を測定する方法が、大きく変化するかもしれない。
研究チームは、光学コヒーレンストモグラフィー(OCT)技術を用いて人体の母指球の表皮厚の分布範囲を特定し、それに基づいて多重微小空間オフセット型ラマン分光(mμSORS)スペクトル技術という無侵襲血糖測定技術を開発した。これにより、検出機器に手のひらを軽く当てるだけで、血糖値を正確に測定することが可能になり、侵襲的な血糖測定がもたらしていた痛みや感染リスクを回避できるようになる。
世界の糖尿病患者は5億人を超え、中国でも成人の糖尿病罹患率が12%に達しており、糖尿病は深刻な公衆衛生上の問題となっている。血糖値を効果的かつ定期的に測定することは糖尿病管理の基礎となるが、現在行われている通常の血糖値測定法はすべて皮膚を侵襲するもので、痛みや不快感、さらには血液感染などの問題を引き起こす可能性があり、患者の長期的な血糖値モニタリングへのコンプライアンスが低下している。
ここ数十年来、非侵襲血糖測定技術は研究のホットスポットとなっていたが、精度と汎用性において大きな課題に直面していた。今回開発した技術は個々のキャリブレーションを必要とせず、即時検査が可能であり、年齢や肥満度などに関わらず利用できるため、今後の大規模応用が期待される。
(画像提供:人民網)